中計前倒しで達成 次は「3本の柱」へ集中投資、売り上げ1.5倍以上へ

今期(25年12月期)は中期経営計画の最終年度でもあります。設定した主な財務目標は、資本効率性や収益性を維持しつつ、売り上げの拡大を図るものでした。先述のとおり、荏原製作所は順調に業績を伸ばしていることから、掲げた目標の多くを前期までに達成しています。

【中期経営計画の主な財務目標】 

荏原製作所の中期経営計画の主な財務目標を表した図表
 

※ROIC…投下資本利益率
※ROE…自己資本利益率

出所:荏原製作所 決算説明会資料
 

荏原製作所は、新しい中期経営計画を26年2月に公表する予定ですが、それに先立ち大まかな経営方針を明らかにしています。主に事業ポートフォリオの改革に言及するもので、5つのセグメントのうち「精密・電子」と「エネルギー」、「建築・産業」の3つを収益の柱に据えると明かしました。35年3月期の売り上げは、24年12月期(8666億円)の1.5倍から2倍を目標に、その90%を3つの柱が占める想定です。

当面は3つの柱に投資を集中させます。精密・電子は、半導体市場の成長を前提に生産能力を拡大させる方針です。エネルギーは、化石燃料の領域でアフターサービスを強化するほか、カーボンニュートラル領域や液化天然ガスへの取り組みを強めます。

建築・産業は、3つの柱では相対的に効率性や収益性が低いという認識です。同じく事業拡大には取り組みつつも、同時に付加価値の最大化を目指します。また、事業ポートフォリオ改革全体の方法として、今後はM&Aも積極的に活用するとしました。

荏原製作所は、同社がベンチマークとして注視する同業他社よりも、営業利益率やROEにかい離があるとの認識です。その原因の1つは、売り上げの規模にあると分析します。荏原製作所の8666億円に対し、当該ベンチマーク企業は2兆5000億円であり、固定費から見た効率性に差がついているとの考えです。

荏原製作所は、3つの柱を中心に売り上げを伸ばし、収益性や効率性の向上を目指します。

文/若山卓也(わかやまFPサービス)