ポンプと半導体装置が2枚看板 海外比率6割も関税影響は軽微
まずは企業の概要を押さえましょう。
荏原製作所は産業機械メーカーの大手です。創業は1912年、当時の画期的な発明だった「ゐのくち渦巻ポンプ」の製造を目的に、ゐのくち式機械事務所として誕生しました。その他の製品も制作する目的から、社名は1920年に現在の荏原製作所へと改めます。
ポンプは現在も同社の象徴的な製品です。ビルやマンションなどに用いられる標準ポンプは国内シェア首位、特定用途のカスタムポンプでも世界トップクラスのシェアを持ちます。標準ポンプは広範な設備で、カスタムポンプは水インフラや石油・ガスといったエネルギーの領域などで用いられています。
もう1つの看板商品が半導体の製造装置です。真空環境を作り出すドライ真空ポンプや、CMP装置(半導体ウェハーの平坦化工程を担う研磨装置)は、いずれも世界シェア2位となっています。生成AIなどから半導体は需要が増加しており、その製造装置は荏原製作所の中核事業となっています。
【セグメント情報(2024年12月期)】
世界シェアの高さから、売り上げの多くは海外に由来します。24年12月期は売上収益の66%を海外が占めました。中国などのアジア向けが多く、関税の影響が懸念される北米も14.3%を占めます。なお、米国向けは主に現地の拠点で製造していること、半導体向けの追加関税は免除されていることから、現時点では関税の影響は限定的としています。
【地域別の売上収益(2024年12月期)】
・日本:2907億円
・中国:1902億円
・アジアその他:1292億円
・北米:1237億円
・その他:1329億円
出所:荏原製作所 有価証券報告書