業績は順風満帆、4期連続で過去最高 半導体装置が好伸

続いて業績の推移を解説します。

荏原製作所の業績は順調です。国際会計基準へ移行してからは、すべての期で増収増益を達成しています。

特に21年12月期からは成長が加速します。売り上げは15.5%増、営業利益は1.6倍に増加し、それぞれ過去最高を更新しました。最高業績の更新は、24年12月期で4期連続に達します。

荏原製作所の業績(2016年3月期~2024年12月期)を表した図表
 
出所:荏原製作所 決算短信より著者作成
 

業績をけん引しているのは精密・電子です。同セグメントはコンポーネント(真空ポンプなど)やCMP装置といった半導体製造装置が売り上げの大半を占めています。半導体企業の設備投資がおおむね高水準で推移したほか、足元はAIの需要も追い風で売り上げも利益も拡大しました。

荏原製作所のセグメント営業利益(2020年12月期~2024年12月期)を表した図表
 
出所:荏原製作所 ファクトブック
 

今期(25年12月期)も増収増益を予想します。精密・電子は、生成AI関連の需要が継続するほか、期首の受注残も豊富なことから、引き続き業績のけん引役となる見込みです。また建築・産業も、前期計上の減損のはく落を主因に増益を見込みます。

【荏原製作所の業績予想(2025年12月期)】

・売上収益:9000億円(+3.8%)
・営業利益:1015億円(+3.6%)
・純利益:724億円(+1.4%)
※()は前期比
※同第1四半期時点における同社の予想

出所:荏原製作所 決算短信

今期は第1四半期まで決算が公表されています。売上収益は前年同四半期比で9.7%増、営業利益は同17.1%増となり、第1四半期としては過去最高となりました。受注高も、精密・電子セグメントを中心に伸び、同じく過去最高を更新します。

業績進捗率は売上収益が23.6%、営業利益が22.3%と目安の25%をやや下回りますが、おおむね計画どおりとしています。売上収益はエネルギーを除き立ち上がりがやや遅いとした一方で、営業利益は計画を上回っていると説明しました。