「年金制度は複雑でよくわからない」「自分はいくらもらえるのか不安」。
社労士みなみ氏が著者の書籍『50代からのお金の新常識 知っている人だけが得をする人生逆転プラン』では、一見難解に思える年金制度の中でも、“知らないと損する”ポイントをわかりやすく噛み砕いて解説しています。
見逃されがちな「ねんきん定期便」のチェックポイント、消えた年金の探し方、誤解されやすい在職老齢年金の制度など、誰でも今日から実践できる“もらい損ねない”ための方法を紹介してもらいます。(全3回の3回目)
●第2回:見逃すと大損! 延べ109万人の年金が増額になった「持ち主不明記録」の調べ方
※本稿は、社労士みなみ著『50代からのお金の新常識 知っている人だけが得をする人生逆転プラン』(かや書房)の一部を抜粋・再編集したものです。
働けば働くほど年金が減っていく恐怖の在職老齢年金制度
現在、70歳まで働ける機会の確保が企業の努力義務となり、65歳以降も働くのが当たり前の時代となりました。現在、50代の方であれば、70歳以降も働こう、と考えている人も多いと思います。
しかし、年金を受給しながら働くと、年金が減額されることがあると聞いた方、多いと思います。年金をもらいながら働く場合、年金が一時停止または全額停止されることもあるのです。
この働きながら年金をもらう在職老齢年金制度は、この制度によって年金が減額される制度でもあるのです。在職老齢年金は、厚生年金に加入しながら年金を受給する方が対象となります。
この在職老齢年金は、働いて稼げば稼ぐほど年金が減額される仕組みなのです。
在職老齢年金は、年金と給与を足して一定額を超えると、一部停止または全額停止となります。
一定額とは、65歳以降の厚生年金と給料などの合計額です。
この年金のカット基準ですが、ここ数年、基準額が上がっています。令和7年4月には、50万円の基準額から51万円に引き上げられました。この支給停止の基準となる金額は、賃金や物価の変動に応じて毎年改定されます。
ここで停止される年金額というのは、実際に受け取る年金受給額全体のことではないのです。停止される年金額とは「基本月額」(厚生年金の1ヶ月分)です。