松井証券の投信売れ筋ランキングの2025年6月のトップは前月のトップ10圏外から「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)」が飛び込んだ。前月トップだった「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」は第2位に後退した。第3位以下は、いずれもトップ10圏外からのランクインとなり、第3位は「ピクテ・ゴールド(為替ヘッジなし)」、第4位には「三菱UFJ純金ファンド」、第5位は「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(年1回決算型)」だった。第6位以下は「ROBOPROファンド」、「キャピタル世界株式ファンド年2回決算(分配重視)」、「WCM 世界成長株厳選ファンド(予想分配金提示型)」、「東京海上・宇宙関連株式ファンド(為替ヘッジなし)」、「つみたて先進国株式」の順位となり、アクティブファンドが並んだ。

 

◆世界株式厳選ファンドのパフォーマンス比較

松井証券の売れ筋でトップ10に入っている世界株式厳選型のアクティブファンドのパフォーマンスを比較してみた。「WCM 世界成長株厳選ファンド」の設定が2021年10月と比較的新しいため、2021年10月末を起点として2025年6月末まで3年8カ月間の動きを振り返ると、最も良い運用成績だったのは、「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>」でトータルリターンは88.51%だった。この期間に「オルカン」(eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー))のリターンは66.36%だったが、「WCM 世界成長株厳選ファンド」は63.73%とやや劣り、「キャピタル世界株式ファンド」は46.45%と一段と劣った。「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>」が高く評価されているのは、このパフォーマンスの裏付けがあることがわかる。

また、2025年6月末を基準として過去3年間のリターンをみると、「オルカン」は69.33%だったが、「キャピタル世界株式ファンド」は67.31%でほぼ同等であり、「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>」は85.16%、「WCM 世界成長株厳選ファンド」は134.29%という成績になった。過去3年間では「WCM 世界成長株厳選ファンド」のパフォーマンスが頭抜けている。

これら株式厳選型のファンドの多くは、ベンチマークである「MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス」の構成銘柄2500超の中から、独自のリサーチによって優れた銘柄を選び抜いてポートフォリオを作っている。「WCM世界成長株厳選ファンド」は2025年5月末時点のポートフォリオに組み入れている銘柄数は34銘柄だ。「キャピタル世界株式ファンド」はやや多く268銘柄だが、ベンチマークと比較すると10分の1程度に絞っている。また、「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>」は「MSCI ワールド」という先進国株式インデックスをベンチマークにしているが、こちらも約1200銘柄というベンチマークの構成銘柄数に対して41銘柄でポートフォリオを作っている。パフォーマンスは銘柄選定能力やポートフォリオの構築、そして、銘柄入れ替えのタイミングなど総合的な運用力の結果だ。

それぞれ、実質的な運用を担当するWCMインベストメント・マネジメントやインベスコ・アセット・マネジメント、キャピタル・グループについて、その運用力の詳細を知ることは難しいだろう。まして、個々のファンドについて運用を担当するポートフォリオマネージャーは誰で、そのマネージャーが担当するファンドの運用成績はどうか、などを一つひとつ確認することは難しい。

ただ、運用実績は誰でも確認することができる。できるだけ長期の運用成績を検証し、個々のファンドの運用力を把握するようにしたい。松井証券で「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>」が売れ筋トップにあるのも、「WCM 世界成長株厳選ファンド」の評価が高まったのも、運用成績が背景にあることは間違いない。運用成績については定期的にチェックするようにしたい。