「前年上回るペースで現場稼働が本格化、好調な出足」(北海道・建設業)
現状について、地域別の具体例を見てみよう。まずは良好との声からだ。
東海地方の旅行代理店からは「物価は相変わらず高止まりしているが、大阪・関西万博や各地のイベントへ出向く観光客は増加。団体旅行も好調で、旅行代金は例年より高くなっているが実施は増えている。しばらくはこの状況が続く」
北海道の建設業からは、「新年度受注工事の着工期を迎え、技術者の現場配置が全て完了。前年度を上回るペースで全現場の稼働が本格化、好調な出足」。いずれも現状を「やや良」と回答している。両者とも景気の追い風を受け、比較的好調な業種の代表例だ。
続いて先行きについては、全国 12 地域のうち10 地域で上昇、1地域で低下、1地域で横ばい。最も上昇幅が大きかったのは北海道45.8(5.3 ポイント上昇)、最も低下幅が大きかったのは沖縄55.8(1.8 ポイント低下)だった。
北海道の人材派遣会社からは、「米国の関税の先行きに不安は感じるものの、今のところ北海道では景気が下振れする様子はみられないことから今後も現状のままで推移。企業における人材確保の優先度の高い状況はしばらく続く」と先行きを「不変」とする声が挙がった。また、四国の家電量販店からは「夏のボーナス商戦で季節商材やパソコンの最新版OSへの移行により、販売量が増加するとみられる」と先行き「やや良」とのコメントが聞かれた。
5月の景気ウォッチャー調査結果の全体を見ると、夏のボーナス支給や賃上げの効果がどの程度景気を押し上げるか、また米国の通商政策の影響がどのように表れてくるかが注目点として浮かび上がってくる。現状判断DI、先行き判断DIともに上昇したことは朗報だが、依然として50を下回る水準であり、引き続き回復傾向が継続するかの判断は時期尚早だ。
●気になる地域ごとの景気動向は? 中編「【北海道の景気の現状は?】コメを尻目に…“価格転嫁を認めてもらえない界隈?”ウォッチャーの本音とは「2025年6月公表最新調査」」にて詳報する。
調査概要 調査名:景気ウォッチャー調査(令和7年5月調査) 調査公表:2025年6月9日 調査主体:内閣府 調査対象地域:北海道、東北、北関東、南関東、甲信越、東海、北陸、近畿、中国、四国、九州、沖縄2050人 実施期間:毎月25日~月末