成長領域は好進も連結で減益傾向 今期最終は70%増益予想、半導体向けが好調
業績も押さえておきましょう。三井化学の最高益は2022年3月期です。一過性の損益を除いたコア営業利益は1600億円台、高騰した市況の影響を除いても1200億円台となり、利益水準が大幅に改善しました。
しかし、その後は利益を減らす展開が続きます。主因はベーシック&グリーン・マテリアルズ事業です。需要の減少などから減益傾向が強まり、2025年3月期まで2期連続の赤字に陥りました。一方で成長領域は増益が続いており、連結のコア営業利益は2025年3月期に3期ぶりの増益で着地します。
最後に今期(2026年3月期)の会社計画を確認しましょう。連結のコア営業利益は増益を計画します。引き続き成長領域の堅調を予想するほか、ベーシック&グリーン・マテリアルズも黒字転換を見込みます。
成長領域は、特にICTソリューションが伸びる想定です。半導体市場の需要回復などから販売数量が増加し、利益の押し上げを予想します。一方、モビリティソリューションは新プラント稼働に伴う固定費の増加や円高が重く、減益の見込みです。
なお、一過性の損益を除かない一般的な各利益は大幅な増益を予想します。これは、2025年3月期に計上した減損損失のはく落が主な要因です。
【三井化学の業績予想(2025年3月期)】
・売上収益:1兆7700億円(-2.2%)
・コア営業利益:1100億円(+9.0%)
・営業利益:980億円(+25.1%)
・純利益:550億円(+70.6%)
※()は前期比
※2025年3月期時点における同社の予想
※コア営業利益…営業利益から非経常的な要因により発生した損益を控除したもの
出所:三井化学 決算短信
文/若山卓也(わかやまFPサービス)