燃料費調整の「期ずれ」で最高益 はく落の今期は減益の見込み

次に業績を確認しましょう。

関西電力は2015年3月期まで4期連続の最終赤字を経験します。原子力発電所の利用率が低下し、火力発電に伴う燃料費や他社購入費用の増加が主因です。

また、2023年3月期は円安や燃料価格の影響などから費用が増加し、8期ぶりの営業赤字に転落しました。なお、純利益は税負担の減少から黒字を残しています。

直近の2024年3月期は一転して大幅な回復となりました。原子力利用率の上昇と燃料価格の低下が費用を押し下げ、営業利益は前期比7800億円の改善です。純利益も、発電所の建設中止に伴う特別損失を計上しながら、同25倍に増加しました。これは過去最高益とみられています。

増益は燃料費調整制の「期ずれ」も影響します。燃料費調整制度は、為替や燃料市況の変動を電気料金に反映させる仕組みです。ただし、反映は3~5カ月遅れます。このタイムラグが、2024年3月期の収入を1670億円押し上げました(前期は1740億円のマイナス影響)。

 
出所:関西電力 決算短信より著者作成
 

なお、今期(2025年3月期)は大幅な減益の計画です。通期予想は第3四半期で上方修正されたものの、営業利益は前期比45.1%減、純利益は17.4%減を見込みます。売り上げは増加を予想しますが、他社購入電力料の増加が利益を圧迫する想定です。また、燃料費調整制度の期ずれ影響はマイナスに転じる見込みで、通期では60億円の減収を予想します。

【関西電力の業績予想(2025年3月期)】

・売上高:4兆3500億円(+7.2%)
・営業利益:4000億円(-45.1%)
・純利益:3650億円(-17.4%)
※()は前期比
※同第3四半期時点における同社の予想

出所:関西電力 決算短信