非エネルギー事業の中核はデータセンター 10年で1兆円を投資

冒頭のとおり、関西電力は2024年11月に大型の資金調達を公表しました。調達額は最大5049億円で、うち2399億円を2029年3月末までに設備投資へ、1650億円を2027年3月末までにデータセンター事業と不動産事業、および再生可能エネルギー事業へ振り向けます。

残り1000億円は2028年3月末までのM&A資金として活用する想定です。M&Aが実行されない場合、長期借入金の返済に充当します。

大型の資金調達の背景には、関西電力が目指す改革があります。脱炭素社会に向けゼロカーボンへ取り組むほか、エネルギー事業以外のサービス強化を目指しています。2026年3月期までの5年間で前者に1兆500億円、後者には1200億円を投じる計画です。

【中期経営計画の主な財務目標】

※ROAは事業利益ベース(事業利益=経常利益+支払利息)

出所:関西電力 中期経営計画
 

非エネルギー事業の強化で、特に注力するのがデータセンター事業です。関西電力は2023年5月、大型のクラウド事業者向けデータセンターの開発に向け10年間で1兆円を投じると公表しました。目標の総受電容量は900メガワットです。

データセンターはAIの拡大にけん引され需要が増加しています。国内でも投資が相次いでおり、業界を超えて多くの事業者が参入しています。そのなかでも、関西電力の投資は大規模です。

関西電力は巨額の投資でメガデータセンターを構築し、エネルギー以外の収益源を創出します。

文/若山卓也(わかやまFPサービス)