◆AIは運用にも生かせるか?
売れ筋ランキングで前月トップとなり、2月も第2位と高い位置をキープする「ROBOPROファンド」は、AI(人工知能)の予測に基づいて毎月資産配分比率を大胆に見直しながら運用するファンドだ。投資資産は「米国株式」「先進国株式」「新興国株式」「米国債券」「ハイイールド債券」「新興国債券」「不動産」「金」の8資産だ。それぞれの資産の代表的なETFを投資対象としている。3月12日に実施されたリバランスでは、「米国株式」を2月の3.5%から21.2%に大きく引き上げ、「新興国株式」を40.6%から29.6%に、「ハイイールド債券」を25.9%から16.1%に、「金」を30.1%から26.2%に引き下げた。また、2月時点では保有していなかった「不動産」を6.9%の比率で保有した。米国株価が下落し、新興国の株価がやや上昇したため、割安感の出た米国株に資金をシフトしたと考えられる。「金」に資産の30%程度を振り向けていることも含めてメリハリの利いた運用をしている。
2月末時点での過去1年間のパフォーマンスは20.03%となり、これは「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の16.10%を上回っている。「S&P500」は2月半ばから大きく値を下げており、「ROBOPROファンド」が価格を保っているためにパフォーマンスの逆転が起きた。今後も米国株式市場が不安定な値動きを続けるようであれば、世界のさまざまな資産に収益機会を求めている「ROBOPROファンド」への期待が高まるかもしれない。
同ファンドが参照しているAIモデルは、先行性の高い40種類以上のマーケットデータを使い、約1000種の特徴量を組み合わせて多角的に解析している。そして、導き出した予測結果については機械学習によって継続的に改善していくという作業を続けている。予測の精度は年月を重ねるほどに向上が期待される。同ファンドの運用期間は、2023年12月28日の設定から1年余りしかないが、同ファンドと同じAI予測エンジンを使うフォリオ社の「ROBOPRO」サービスは2020年1月15日から約5年の実績がある。それによると、2025年2月末時点までで「TOPIX(東証株価指数)」が54.93%の上昇率だったことに対し、「ROBOPRO」は105.57%という成績を残している。「S&P500」は5年で186%という成績だったため、それと比較すると物足りないかもしれないが、世界の資産に幅広く分散投資している運用姿勢は、中長期の運用を任せる1つの選択肢にはなり得るファンドといえそうだ。
執筆/ライター・記者 徳永 浩