100万円の小遣いがチラリ…価値観の違いを突きつけられた夜
数年後には母を引き取ることも想定しておいた方がいいかもしれない。あれこれ考えながら重い足取りで自宅マンションに戻ると、亜里沙も少し前に帰宅したばかりだったらしく、バスルームからシャワーを浴びる音が聞こえてきました。
リビングのテーブルの上には、亜里沙が実家から持ち帰った荷物がヴィトンの紙袋に入ったまま置いてありました。亜里沙のお母さんが持たせてくれた手作りの惣菜や、亜里沙が好きな地元のパティスリーのチョコレート……。その中でふと目についたのが分厚い封筒で、帯封をしたままの100万円の札束がのぞいていました。
バスルームから出てきた亜里沙は私の視線に気づいたらしく、封筒を紙袋の奥に押し込み、「パパが『持っていきなさい』って言うから」と気まずそうに言いました。
おいおい、社会人にもなって親から小遣い100万円かよ。
亜里沙を問い詰めたりはしませんでしたが、その時、親の財力に支えられた亜里沙のセレブ生活という構造がはっきり見えたように思いました。
親に仕送りをしなければならない私と、100万円もの小遣いを当たり前のように受け取っていた亜里沙。今はお互い相手の懐事情を見ないようにしていますが、籍を入れたらさすがにそうはいかないでしょう。
疲れ切った母の顔が頭に浮かび、やはり亜里沙との結婚はムリだと思った次第です。