SBI証券の投信売れ筋ランキングの2025年2月のトップは前月第2位だった「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(通称:オルカン)が繰り上がり、前月トップの「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」が第2位に後退した。「オルカン」がトップに立つのは、2024年12月以来2カ月ぶり。第3位は「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド」で変わらなかったが、第4位には前月第7位だった「SBI 日本株4.3ブル」がジャンプアップした。前月第4位だった「iFreeNEXT FANG+インデックス」は第5位に後退した。また、前月第9位だった「SBI・iシェアーズ・ゴールドファンド(為替ヘッジなし)」が第7位にジャンプアップした。

一方、前月第10位の「SBI・V・全米株式インデックス・ファンド」がトップ10から落ち、前月は第11位だった「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信D 毎月決算型 Hなし予想分配」が第10位に浮上した。

 

(出所)公表データに基づいて編集部作成

◆ハイテク株高に暗雲?

2月は米国と日本の株価が下落し、欧州と中国の株価は上昇するという展開だった。欧州株は英国「FTSE100」、ドイツ「DAX」などが史上最高値を更新する好調ぶりで、米国一国に投資するよりも他の国に分散投資した方が良いという見方が強まったのだろう。資金流入額のトップが「S&P500」から「オルカン」に移ったのも米国株の不調を気にしての動きと考えられる。

米国株価の中では、「S&P500」は指数ベースで1.42%の下落率だったが、「NASDAQ総合」は3.97%安と下落率が大きかった。ハイテク株比率の高い「NASDAQ総合」が大きく下げた影響で、「iFreeNEXT FANG+インデックス」や「<購入・換金手数料なし>ニッセイNASDAQ100インデックスファンド」などへの資金流入額が減退した。米ハイテク株の中核として動向が注目されているAI(人工知能)向け半導体のエヌビディアは2月27日に予想を上回る決算を発表したものの成長率が以前よりも鈍化してきたとみなされて8%超下落してしまった。好決算でも株価が急落するのは、現在の株価収益率(PER)の水準(約42倍)が割高だと意識されていることの表れといえる。今後、エヌビディアの株価が再び力強く上昇するようなことがないと、ハイテク株全般の先行きが不透明になってくるだろう。

一方、2月は月間で6.11%も下落した「日経平均株価」は、「売られ過ぎ」とみなされたのか「ブル型」の「SBI 日本株4.3ブル」が人気化した。ただし、「eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)」は前月の第8位から2月は第9位に順位を落としていることから、日本株の先行きに強気の見通しが増えたということではないのだろう。一時的に大きく下落したことによる「株価の戻り」を期待した短期売買の注文が増大したものと考えられる。