日経平均下落の要因

次に各国の株式市場の動向を見ていきます。

 

日経平均株価は37,155円まで下落しました。現時点(2月28日配信時点)の先物では約37,300円まで持ち直しています。ちなみに日経平均株価は昨年の夏に大きく下がった後、9月には米国経済の見通しが不透明になり36,000円台まで下がりました。今回はまだそれよりも1,000円ほど高い水準です。

それでも今週は日経平均株価の下げが非常に目立ちました。報道などではこれがトランプ関税の影響だと言われています。ただ、日経平均株価のセクター別騰落率を見ると、必ずしもそうとは言い切れません。

出所:内田氏

最も下がっているのは情報技術セクターです。情報技術は直接トランプの関税が影響するセクターとは言い難いでしょう。もちろん、半導体の輸出規制などの話も出ていますので、それを理由に下がっているという説明はできるかもしれませんが、少なくともトランプの関税で情報技術が下がったというのは、少し辻褄が合わないでしょう。

 

米国のS&P500も今週下がっています。

セクター別騰落率を見ると、米国で下がっているのは一番右の消費関連セクターと右から2番目の情報技術セクターです。

出所:内田氏

確かに消費関連が悪いということもありますが、NVIDIAの決算を無難に通過した後、利益確定の売りが出ており、一部では「マグニフィセントセブン」の調整が始まるという悲観的な見方もなされています。

基本的に今起きている株価の下落は、トランプの関税発動などを受けて、昨年10月頃から起こっていたトランプ再選を見越した「トランプラリー」の反動と考えられます。

関税に関する発言は下げのきっかけだったかもしれませんが、関税の話で景気の先行きが不透明になったというより、結局のところトランプの関税の動きをきっかけとして、株を売って債券を買う動き、つまり昨年10月以降のトランプラリーの巻き戻しが起こっていると考えられます。

 

それからドイツの株式市場(DAX指数)も、過去1年では上昇してきましたが、今週は鈍化しています。