今週(2月24日週)はとにかくマーケットにいろいろと動きがありました。アジェンダは次の通りです。

一つはリスク回避の背景です。トランプ大統領の関税発言などが影響していると報じられますが、本当にそうなのかについて考えます。あとはマーケットの振り返り(株、為替、金利)です。最後に来週のポイントです。

まず恐怖指数とも呼ばれるVIXをご紹介します。これを見ると、現在20%をちょっと超えている水準です。マーケットとしてはかなりリスク回避的になりつつある状況です。
まだ、そこまで極端ではないものの、ここ最近の中では20%を超えてきていますので、マーケットがかなりリスク回避的になっていると言えます。今週、リスク回避的なきっかけになったとされているのが、トランプ大統領が次々と発言した関税の動きです。主に5つ挙げられます:

1つ目は中国に対する関税です。もともと10%だったものに10%上乗せし、合計20%に引き上げるとしています。2つ目にはUSMCA(メキシコとカナダ)に対する関税です。当初2月4日開始予定だったものを1カ月延期していましたが、3月4日から予定通り実施すると発表しました。一時、再延期されると期待される時期もありました。
3つ目は相互関税を4月2日に発動するとの発言です。4つ目はEUに対する関税の発動が近いとするものです。税率も25%との目処が示されました。5つ目がイギリスに対する関税を検討するとの発言です。
イギリスに関しては、今週首相が米国を訪問し、軍事費を増やすというお土産を持参したにもかかわらず、結果的に関税を検討されることになりました。今まで警戒されていたものが今週一気に顕在化しました。
この内、日本に関連してくるのは3番目の相互関税です。これは米国からの輸入に対してかけている税率を同じ品目に対して同じ税率をその国からの輸入品に課すものです。

現在、米政府は不公正な補助金や規制、付加価値税、知的財産、為替レートについて調査しています。この内、最も警戒されるのが為替レートです。「市場価値から乖離させ米国民に不利益をもたらすような政策及び慣行」をやっている国に対して何か注文をつけてくる可能性があります。
日本円はバイデン政権時に最もドルに対して下落しました。購買力平価からも通貨安方向に乖離しています。これから4月にかけて為替に関して日本が注文を付けられる危険性があります。