米国予算案をめぐる動き
米国の予算に関する動きについてです。

マーケットのセンチメントには少しプラスになるはずです。
具体的には国防予算・国境対策が0.3兆ドル、トランプ減税の恒久化に4.5兆ドル、歳出削減が2兆ドル、債務上限の引き上げが4兆ドルの内容です。この政策が下院で可決され、上院に送付されます。
ただ、共和党はもともと小さい政府を志向しており、これだけの予算案に対して共和党内でも反対が多いです。上院では、もともとこの下院の法案はそのまま通らないだろうという考えから計3400億ドルのよりコンパクトな案をすでに可決しています。
下院の決議案が上院に送付されて審議に入りますが、トランプ減税の取り扱いや債務上限の引き上げがすんなり法案としてまとまるかどうかは、まだ不透明です。ただ、トランプ大統領はこういった減税や債務上限引き上げを全てセットにした法案が望ましいとして下院の案を支持しています。
下院内で反対に回った共和党議員に直接トランプ大統領が交渉したという報道もありました。上院の共和党議員に対してもトランプ大統領がいろいろと働きかけると思いますが、取り扱いをめぐってはまだどうなるか分からない状況です。
この法案に近いものが出れば、トランプ氏が宣言していた減税が実現することになります。ただトランプ氏はもともと10兆ドル規模と言っていたので、この4.5兆ドルはトランプ大統領からするとだいぶ縮小したサイズ感でしょう。
次に米国経済の現状についてです。

1月の小売売上高、ウォルマートの決算、そして消費者信頼感指数などで、米国の特に消費の先行きに対する懸念が生じています。
日次と週次で更新される10の経済指標をもとに週次で米国の景気を補足している「ウィークリーエコノミックインデックス」を見ると、黒い線(13週移動平均)は横ばいから若干右上方向に上がっています。この為、米国の現在の景気自体はそこまで過度に悲観視する必要はないでしょう。

一方で、米国の消費者信頼感指数は大きく下がりました。黒い線を見ると落ち込んだことがわかります。内訳を見ると、「期待感」(赤い線)がより大きく落ち込んでいます。米国のマーケットや各家計は、現在の景気よりも将来を見込んでかなり不安な見方を強めています。トランプの関税に関する発言が繰り返され、センチメントが悪化していると言えるでしょう。