10%しかいないの?

翌日、職場で仲の良い同僚である岡村にこの話をすると、苦笑いを浮かべて言った。

「割り勘ねぇ……。まあ正直、俺だったら全額出すけど」

「でしょう?」

「でも、ずっとそれを続けるとなると、結構負担は大きいもんよ」

岡村のその言葉に、瑠美は噛みつくように抗議する。

「負担って言うけど、女性はデートのために服や化粧に時間もお金もかけてるのよ。それを考えたら、デート代くらい男性が持つべきじゃない?」

岡村は少し困ったように笑った。

「ていうけどさ、うーんまあ、そいつの経済状況だってよくわからんし。みんながみんなそう思うわけじゃないかもよ」

全人類そう思うべきよ、と言いたい瑠美だったが、遊び慣れている岡村の言葉に反論する言葉は思いつかなかった。てっきり賛同を得られると思っていた相手から肩すかしを食らった瑠美は、世間の意見が知りたくてネットで社会人カップルのデート費用について調べてみた。

すると、デート代を支払わないという女性は10パーセント程度しかいないと、なんとも信じがたいグラフが掲載されていた。

「たったの10パーセント!? 嘘でしょ!?」

自分が少数派なのだろうか、と思った瑠美は内心で激しく首を横に振る。行き遅れているとは言え、瑠美は自分の容姿には自信があるし、実際にメンテナンスにはお金と時間をかけている。それを考えるとやはり、男性にデート代を全額負担してもらうことは妥当なのだと思えて仕方なかった。

●瑠美は出会いを重ね、ついに“100点満点”の男性を見つけるのだが。浅はかな本性を見抜かれてしまい……。後編:【「ブロックされた…」やっと見つけた”100点満点の男”のはずが、男を値踏みしていたアラサー婚活女子に訪れた当然の末路】にて詳細をお届けます。

※複数の事例から着想を得たフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。