三菱アセット・ブレインズがまとめた2024年12月の公募投信(ETF、DC専用、SMA専用、公社債投信除く)の新規設定ファンド数は21本と前月(18本)を上回り、設定総額も約900億円と前月(約250億円)を大きく上回った。新規設定額ランキング(設定額は設定日の純資産額)でトップは、SBIアセットマネジメントが設定した「SBI・S・米国高配当株式ファンド(年4回決算型)」の約596億円で、前月トップの「ウエリントン・トータル・リターン債券ファンド(年1回・ヘッジなし)」の約59億円、前々月トップの「ニュートン・パワー・イノベーション・ファンド(ヘッジなし)」の531億円を上回った。
また、新規設定21本中にインド株式ファンドが6本あり、インド株式ファンドの設定が目立ったが、設定額は6本の合計で約39億円と新規設定額全体の4%程度にとどまった。
◆米国新政権の発足で米株の物色に変化?
新規設定額でトップになった「SBI・S・米国高配当株式ファンド(年4回決算型)」は、4月に新規設定された「フィデリティ・新興国中小型成長株投信」の設定額770億円に次ぐ、今年2番目に大きな新規設定額になった。同ファンドは、米国の配当利回りが高い100銘柄で構成される指数である「ダウ・ジョーンズUSディビデンド100インデックス」への連動を目指すETF「シュワブ米国配当株式ETF(SCHD)」を投資対象とする低コストのインデックスファンドだ。信託報酬は実質年0.1238%(税込み)。「SCHD」への連動をめざすファンドはひと足早く「楽天・高配当株式・米国ファンド(四半期決算型)」が2024年9月18日に設定され、年末までの3カ月程度の期間に純資産残高が1000億円を超える人気ファンドになった。当ファンドはこれを追いかけるように設定され、楽天のファンドよりも速いペースで1000億円の大台を超える勢いで残高を積み上げている。
新規設定額で第2位の「アメリカ国家戦略関連株ファンド」は、米国の国家戦略の動向から恩恵を受けると期待される企業の株式に投資するもので、主要なテーマとして「国内回帰」「半導体」「エネルギー」「国家防衛」をあげている。銘柄選定等の指図など実質的な運用は、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント・エル・ピーが行う。
2024年後半はトランプ第2次政権の発足が決定するなど、新しい米国に向けた動きが始まり、米国株式市場は年末に向けて強含む(上昇傾向が高まる)展開となった。新規設定ファンドも米国株を投資対象とした銘柄に人気が集中した格好になったが、その投資対象となっている米国株の中身は、これまでの「S&P500」や「NASDAQ100」、「FANG+」などで主役を務めてきた「マグニフィセント・セブン」に象徴される大型ハイテク株とは異なる銘柄群だ。米国で新政権が発足する2025年は、これまでとは異なる銘柄群が活躍するという期待が高まっているのだろう。