日本製鉄のUSスチール買収は2025年1月、米バイデン大統領の禁止命令によって行方が見通せない状況となりました。日本製鉄の株価は軟調な展開となっており、1月14日の終値は3010円と、2024年末(同3198円)から5.4%下落しています。

日本製鉄とUSスチールは命令の無効を求め、米政府の提訴に踏み切りました。同時に、買収を違法に阻止することを企てたとして、米同業のクリーブランド・クリフス社とその代表、およびUSW(全米鉄鋼労働組合)の会長に対し、さらなる行為の差し止めと損害賠償を求める訴訟も起こしています。

米政府は大統領の禁止命令の履行期限を2月から6月へ延期しました。これにより、買収計画の放棄にはいったんの猶予が生まれています。とはいえ、買収の成否は不透明です。

いずれにせよ、日本製鉄には多くの関心が寄せられています。中には投資を検討している人もいるでしょう。

日本製鉄に投資するにはどうすればよいのでしょうか。今回は株式の買い方と、投資信託で日本製鉄へ投資する方法を紹介します。

世界4位の鉄鋼メーカー 高級鋼に強み、製造業向けが過半

まずは日本製鉄の概要を押さえましょう。

日本製鉄は国内最大手の鉄鋼メーカーです。国内の粗鋼生産の44%を握っています(2023年度)。世界でも2000年までは粗鋼生産量で首位でした。現在は世界4位に位置します(2023年)。

日本製鉄は付加価値の高い高級鋼に強みがあります。高級鋼は製造業で用いられることが多く、日本製鉄の出荷は自動車向けが多くを占めています。また造船向けやエネルギー(油井管、ラインパイプなど)向けの比率も高く、製造業向けの出荷は国内で67%、海外で50%に達します(2023年度)。

業績は、直近の2024年3月期は増収減益でした。堅調な出荷と円安が売り上げを伸ばした一方で、利益は原料価格低下に伴う在庫評価損が響き減少しました。

【日本製鉄の業績(2024年3月期)】

・売上収益:8兆8681億円(+11.2%)
・事業利益:8697億円(-5.1%)
・純利益:5493億円(-20.8%)

※()は前期比
※事業利益=売上収益-売上原価-販管費-その他費用+持分法による投資利益+その他収益

出所:日本製鉄 決算短信

今期(2025年3月期)は売り上げがやや減少、利益は大幅な減益の予想です。減益は引き続き在庫評価損が悪化すること、また設備の休止に伴う損失を計上することが主因です。なお、今期の業績予想にUSスチールの買収は織り込まれていません。

【日本製鉄の業績予想(2025年3月期)】

・売上収益:8兆6000億円(-3.0%)
・事業利益:6700億円(-23.0%)
・純利益:3100億円(-43.6%)

※()は前期比
※同第2四半期時点における同社の予想

出所:日本製鉄 決算短信