なぜ? あてにしていた遺族年金が「わずか月2万円」

Mさんが生活レベルを変えずに羽振りのいい生活をしていたのは、「夫の遺族年金が月15~16万円入っている」と勘違いしていたためでした。しかし、実際の受給額はわずか月2万円。夫の遺族年金をあてにする妻は多いですが、遺族年金は老齢基礎年金(国民年金)の支給はなく、もらえるのは「老齢厚生年金」部分の4分の3だけなのです。

また、遺族厚生年金では、自身の老齢厚生年金の額を差し引いた残りの差額分を受け取ることになります。つまり、ご自身の老齢厚生年金が65万円、遺族厚生年金が90万円なら「90万円-65万円=25万円」が遺族厚生年金として受け取れる金額なのです。月に換算すると約2万円となるのは、こうした理由です。

遺族年金の仕組みを知らず、夫が受給していた年金総額の4分の3をもらえると思い込んでいる方は多いようです。Mさんは「主人は2カ月ごとに35万円ももらっていたのよ。こんなに遺族年金が少ないなんて思いもしなかったわ」と言い訳。しかしようやく、節約して暮らさなくてはならないことを自覚しました。

援助のポイント・対処方法 遺族年金を請求する際には必ず金額の確認を

遺族年金受給の申請の際、Mさんは「金額は通知を見ればわかる」と思い、受給額の確認をせず3年も経過してしまいました。

援助のポイントは、視力が低下している高齢者に代わって、ご家族や介護事業者が郵便物を開封するよう促すことです。面倒でも中身を確認してもらいましょう。

●第2回は【子どもに財布を握られて、病院にも行けない老夫婦。「経済的虐待」を防ぐための「無料の相談窓口」は?】です。(1月30日に配信予定)

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著者名 河北美紀

発行元    実務教育出版

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