久しぶりに会う同期の面々
漫然とした日々を過ごしていた満里奈は、その日、同期の沙織の結婚式に参列していた。
前までなら遠征だ、コンサートだ、番組観覧だと理由をつけて断っていただろう。しかし今の満里奈の予定は空白だらけ。家に1人でいても気が滅入るだけなので、参加してみることにしたのだ。
式場に着き、手続きを済ませて会場に入る。
満里奈があてがわれていたのは、かつて同期入社で励まし合っていた仲間たちの席だった。
懐かしい顔を見て、気恥ずかしさを感じながら挨拶をする。
「満里奈、久しぶりー!!!」
隣の席の佑香が話しかけてくる。最初に出会ったころは心配になるくらい痩せていて、覇気のない見た目をしていた。
しかし今はふっくらとした表情で肌つやも良くなっていた。
「わぁ、久しぶり。あれ、何年振り? 辞めてからどれくらいだっけ?」
「3年かな。満里奈は全然変わってないね」
「そうかな。佑香はなんか、お母さんって感じ」
「何それ」
佑香は3年前に寿退社をしていた。配属された経理部の先輩と結婚して会社を辞め、間もなく子供も生んだ。今は専業主婦をやっているらしい。
「まあでも、たしかに腕力はついたかも。今はもう絶賛イヤイヤ期でさ。歩くのいやだとか言って、道路に寝っ転がったりし出すから、抱きかかえて運ぶのよ。だから母親は腕力勝負みたいなとこあるかも」
佑香はうんざりだという感じで肩をすくめたが、表情は晴れやかで、生活が充実していることは間違いなさそうだった。満里奈はそんな佑香のことを素直にまぶしいと思う。
「満里奈は特になさそうなの? 結婚とか」
「え、私? 全然だよ」
「そっかぁ。いいな。バリバリ仕事に生きるのもかっこいいよね」
別にそういうわけじゃないんだけど、とは言わないでおいた。