三菱アセット・ブレインズが発表する「投信マーケット概況」で「国内株式型」に分類されるファンドの2024年11月の月次資金流入額トップは「日経225ノーロードオープン」になった。前月は圏外だったところから、いきなりトップに躍り出た。この他、第4位の「ダイワ金融新時代ファンド」、第5位の「大和住銀DC国内株式ファンド」などトップ15の中で7ファンドが前月はトップ15圏外だった。人気ファンドの入れ替わりが激しく、市場の潮流の変化を感じさせるが、新たにランクインしたファンドは「日経225」のインデックスファンドが多く、米国株インデックスが史上最高値を更新する中で出遅れ感が強まった国内株式への見直しが進んでいるとも考えられる。
◆国内株インデックスとしての「TOPIX」の低迷
国内株ファンドの資金流入額ランキングのトップ15のうち、国内株を代表するインデックスに連動するファンドは10本を占め、そのうち9本は「日経225」に連動するインデックスファンドだった。もう一つの代表的なインデックスである「TOPIX」に連動するインデックスファンドは1本しかなかった。そもそも国内を代表する225銘柄の平均株価で値がさ株の価格変動の影響が大きな「日経225」と、旧東証1部(現プライム)上場の全銘柄の時価総額加重平均で構成されて大型株の動きに影響されやすい「TOPIX」というのは性格の異なる株価指数として併用されてきた。
そして、「TOPIX」は年金基金や保険会社など、いわゆるプロの投資家が国内株式市場の運用成績をはかるベンチマークとして使用するケースが多く、どちらかといえば、信頼性の高い指数というイメージがあった。「日経225」は2000以上の中から225銘柄を選定するという作業の中で「恣意(しい)性」が排除されないという見方があり、歴史的には長く使われ個人投資家の間でも浸透している指数として一定の評価を得ていたものの、機関投資家の評価は決して高いとはいえなかった。
ところが近年、「TOPIX」の評価が下がっている。ひとつには、2023年3月に東証がPBR1倍割れ企業に企業価値改善のための取り組みを促したように、東証に上場している企業のすべてがクオリティの高い企業とは決して言えないことが改めて意識させられたことがある。東証の新市場区分(プライム、スタンダード、グロース)の振り分けも2025年3月に経過措置が終了する。現在は、経過措置の途上にあるということも評価が定まりにくい要因の1つだろう。
2つの指数は、過去のパフォーマンスには大きな違いはない。「eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)」の過去1年、3年、5年のトータルリターンは15.94%、45.16%、79.03%に対して、「eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)」は同様に15.40%、49.29%、76.77%だ。それでも資金流入の状況に大きな違いがあることは、今後の国内株インデックスを選択する際に注意をしておきたいポイントだ。