他社で相次ぐ下方修正 なぜコマツは上方修正できた?
国内の建設機械を俯瞰すると、実はコマツの今期(2025年3月期)の上方修正は対照的でした。主要な競合他社は、為替の目線はコマツより円安ながら、反対に下方修正する例が見られます。
【主な建設機械の予想純利益(2024年度)】
※コマツは米国基準、クボタと日立建機は国際会計基準
※コマツと日立建機は第2四半期時点(2025年3月期)、クボタは第3四半期時点(2024年12月期)
競合他社が下方修正する中で、なぜコマツは上方修正できたのでしょうか。要因の1つと考えられるのがオセアニアとアジアの好調です。
コマツの今期の地域別売上高の予想は、オセアニアとアジアが大きく伸びる見込みとなっています。うちオセアニアは鉱山機械がけん引する想定です。コマツは鉱山機械の比重が大きく、他社と差別化につながった可能性があります。
オセアニアに次いで改善が大きいアジアも、同様に他社との差別化につながったとみられます。アジアはインドネシアを中心に販売が増加する予想です。背景には新たに誕生した同国政権の政策があります。
インドネシアは2024年10月に新政権が発足しました。就任したプラボウォ・スビアント大統領は、政策目標の1つとして「食料とエネルギーの自給」の5年以内の達成を目指しています。
その政策がコマツに結び付きました。コマツは今期の中間決算の説明会において、インドネシアで20トンクラスのエクスカベーター(油圧ショベル)1000台を受注したことを明かしました。さとうきびプランテーションの開発で生じた総需要2000台のうち半分を獲得したとのことです。
インドネシアは建設向けでも需要が伸びるとコマツは予想します。新政権の発足で政策の転換リスクが低下したとの見方です。インドネシアの好調は、今下期から翌期以降も継続するとしています。
コマツは今期に減益を予想しますが、競合他社より深刻な状況ではないようです。好調な進捗が確認されれば、見直し買いのきっかけになるかもしれません。今期の第3四半期の決算は2025年1月下旬に公表される予定です。
文/若山卓也(わかやまFPサービス)