中期経営計画も上方修正 快走を支える「カテゴリー経営」とは
好調な業績を受け、アシックスは今期(2024年12月期)の第3四半期決算で中期経営計画も上方修正しました。収益性や成長率の目線を引き上げる内容です。売上高の成長は落ち着く一方、収益性の向上は続く見込みです。
【中期経営計画の主な財務目標(2024年12月期~2026年12月期)】
※売上高平均成長率の実績は2020年12月期比の幾何平均
※ROAは総資産当期純利益率
アシックスの快走は、同社の「カテゴリー経営」も貢献しているとみられます。カテゴリー経営とは、経営区分を5つのカテゴリー(※)に分け、本社が垂直的に管理する体制です。カテゴリー経営は2019年に本格導入されました。
※パフォーマンスランニング、コアパフォーマンススポーツ、スポーツスタイル、アパレル・エクィップメント、オニツカタイガー
アシックスは従来、本社と販売部門が独立していました。本社が生産した商品を、販売部門が独自に販売する体制です。この体制は販売部門の権限が強く、本社との意思疎通が難しくなることや、責任の所在が不明瞭になるといった課題がありました。
そこでアシックスはカテゴリー制を導入し、本社と販売部門を統合します。カテゴリーごとに統括部門を設置し、生産から売り上げまで本社が責任を負うようになりました。これにより分断されていた機能が集約され、経営効率が向上したとアシックスは説明します。
カテゴリー制の導入は痛みもありました。構造改革に伴う費用は200億円を超え、アシックスは最終赤字を計上します(2018年12月期)。しかし組織の改革は結実し、現在の躍進につながっています。
中期経営計画ではカテゴリー経営の強化にも取り組みます。カテゴリー間の連携を深め、グローバルでより一体感のあるブランドへの成長させる計画です。カテゴリー経営のもと成長が続けば、株価はさらに上昇するかもしれません。
文/若山卓也(わかやまFPサービス)