今期は順風満帆、北米は3Qで前期比5.8倍 鬼門の10~12月も黒字の見込み
次に業績を確認しましょう。
アシックスは直近10期で2度の最終赤字を経験しています。1度目は2018年12月期です。減収と費用の増加に加え、構造改革費を計上したことが響きました。2度目の2020年12月期は新型コロナウイルスの影響が主因です。
以降はV字回復となりました。売上高および各段階利益は2023年12月期に過去最高を更新しています。主力のランニングシューズがグローバルで好調なほか、その他のカテゴリーも堅調に推移しました。
躍進は続いています。今期(2024年12月期)は第3四半期までに売上高は前年同四半期比17.3%増、純利益は同61.2%増となりました。純利益はすでに前期1年分の利益を上回っています。
利益はカテゴリー別、地域別のすべてで増加しています。主力のパフォーマンスランニングが好調を維持する中、その他のカテゴリーも、コアパフォーマンススポーツを除き大幅な増益でした。地域別では、北米地域が前年同四半期比5.8倍の大幅な増益、その他の地域も軒並み2ケタ増益です。
好調な進捗を受け、アシックスは今期の見通しを7月と第3四半期決算に相次いで上方修正しました。期首予想比で売上高は900億円、純利益は270億円の引き上げです。計画どおりなら、純利益は過去最高を大幅に塗り替えます。
【アシックスの業績予想(2023年12月期)】
・売上高:6800億円(+19.2%)
・営業利益:1000億円(+84.4%)
・経常利益:960億円(+89.5%)
・純利益:630億円(+78.6%)
※()は前期比
※同第3四半期時点における同社の予想
出所:アシックス 決算短信
アシックスはこれまで第4四半期に利益を減らす傾向にありました。年末セールの値引き販売などが原因の1つといわれています。しかし今期は第4四半期単独でも黒字が視野に入っていると、2024年11月開催の説明会でアナウンスしています。値引き販売を抑制するルールを設けたほか、在庫適正化やコスト平準化の取り組みが実を結んでいるようです。
株式市場では、今期の好調な着地は織り込まれているでしょう。投資家の関心は翌期の見通しに移っていると考えられます。本決算と翌期の業績予想は例年2月中旬に公表されています。