寄付でお金は減るが、それだけではない

寄付をただ「お金の流れ」でみれば、純粋なマイナスです。寄付をしたらその額だけあなたが自由にできるお金は減少します。

元本が戻ってくるわけでもなく、投資のようにリターンを生み出すことはありません。ただのマイナスです。

でも、クリスマスや年末年始の贈り物もお金の流れでいえばマイナスであり、自分の買い物ができるお金が減るだけです。

それでも私たちがプレゼントをするのは、誰かの笑顔が見たいからです。寄付もそうです。直接つながっているわけではない、誰かの笑顔のためにお金を渡す行為が寄付なのです。

そして、プレゼントと同様に、「寄付をした人もウェルビーイングは高まる」のです。

寄付をした人、利他的な行為をする人はウェルビーイングが高い

研究によれば寄付をする人はウェルビーイングが高いとされています。世界幸福度調査では最近寄付をしたかどうかが1つの判断軸となっていますが、これもそうした研究成果を踏まえたものです。

寄付とファイナンシャル・ウェルビーイングについての国内研究はまだ数多くありませんが、私はいくつかのポイントがあると考えています。

ポイント①「寄付の金額では幸福度は決まらない」

気持ちがこもっているかどうかのほうが大事です。小学生ならおこづかいからの数十円でも高いウェルビーイングを感じることができます。

ポイント②「どこに寄付をするか自己決定をする」

税金や助成金が社会に還元されるとしても、私たちが決める余地はほとんどありません。寄付なら自分が賛同し支援したいと思う取り組みを自己決定できます。自己決定権はウェルビーイングを大きく高める要素です。

ポイント③「寄付がもたらす効果を少し想像してみる」

寄付先を自己決定したら、そのお金がどう役立つのか考えてみましょう。恵まれない家族の食事になって誰かを助けたとか、寄付をした古着を着た海外の子どもが笑顔を見せたとか、実感できるとあなたのウェルビーイングが高まります。

ウェルビーイング研究の世界では利他的な行為は幸福度を高めるという示唆がありますが、この文脈は、寄付とウェルビーイングの関係にもしっくりくるような気がします。寄付はお金がただマイナスになるわけではないのです。