◆利回りの高い「ハイイールド債券」とは
現在の高い金利水準に着目して「債券の持ち切り型」、また、「高配当株」を特徴にしたファンドも依然として活発に設定されている。
債券型のファンドでは、「あおぞら・新グローバル分散ファンド(限定追加型)2024-10」「先進国米ドル建て債券ファンド2024-10(限定追加型)」は、いずれも30億円以上の設定額になった。「日本企業社債ファンド2024-10」は約28億円で新規設定されている。これらは、限定追加型のファンドで、設定後も任意に購入できるファンドではない。このタイミングで購入して4年~5年後の償還まで継続保有することを前提にしたファンドだ。投資対象も償還期日までに満期を迎える債券だけとし、現在の投資環境で投資可能な債券の利回りを最大限に享受することを目的としている。
また、「米国ハイイールド社債エンハンスト戦略ファンド」「アレス・グローバル・ハイイールド債券ファンド」などハイイールド債券を主な投資対象としたファンドが新設されているのも特徴といえる。ハイイールド債券は信用度が劣る債券で、その分、表面利率※が高く設定された債券だ。景気の先行きが不透明な中では敬遠されがちな投資対象といえるが、世界的なインフレが落ち着き、米国景気もリセッションは回避できそうだという見通しが強まってきたことなどが、「信用リスクより、高い利回り」を求めるニーズにつながっているようだ。
※利付債について毎年支払われる利子の大きさを表すもの。クーポンレートとも呼ばれる。
◆割安株に投資「ニッセイS&P500リカバリー戦略株式ファンド」
「SBI全世界高配当株式ファンド」は全世界株式(オール・カントリー)をユニバースとした高配当株式ファンドだ。米「S&P500」をけん引する大型ハイテク・グロース株の「割高感」が指摘されている折、「配当利回り」を切り口とした出遅れ株、割安株への投資には安心感がある。「ニッセイS&P500リカバリー戦略株式ファンド」も、「S&P500」採用銘柄の中から出遅れた割安株を選んで投資するという点では狙いは同じだ。コロナ・ショック(2020年3月)以降、4年余りにわたって続いてきた米大型ハイテク株がけん引する相場が、そろそろ転換点を迎えたのではないかという見方が広がりつつあることが、これら割安株や出遅れ株を主たる投資対象としたファンドの新設からもうかがえる。
執筆/ライター・記者 徳永 浩