減税の副作用は金利上昇 債券市場は警鐘鳴らす
社会の分断に加え、財政悪化やインフレ加速による金利上昇も、第二次トランプ政権のリスク要因に挙げられます。
財政面では、政府財政悪化のペースが速まる見通しです。図③は米議会予算局(CBO)の米政府収支見通しです。すでにベースライン予測で赤字継続となっていますが、トランプ減税恒久化でさらに深刻化する見通しです。関税引き上げは黒字拡大要因ですが、景気減速を招き、ほかの税収を減らす可能性があります。Tax Foundationは、トランプ氏の減税・関税引き上げ案が実現した場合、今後10年で米政府の財政赤字は約3兆ドル拡大すると試算しています(前頁、図①)。財政赤字拡大は財政への信認低下や国債需給悪化につながり、金利上昇圧力となります。9月以降のFRBの利下げにもかかわらず米長期金利は高止まりしていますが、上昇に寄与したのは主に需給要因であるタームプレミアムだったことがわかります(図④)。今後の財政悪化の織り込みが進んでいた可能性があります。
また、トランプ氏が求める移民の強制送還は、雇用ひっ迫・インフレ圧力として懸念されます。減税による景気加速や高関税による輸入コスト上昇もインフレ観測を高めていると見られ、足元は米利下げ期待が後退しています。このような要因も、米長期金利の上昇要因となっています。
足元の米長期金利上昇はトランプリスクに対する市場の警鐘です。大幅な金利上昇は経済・市場を不安定化させます。米国株は上昇していますが、債券市場では今後のリスクを織り込む動きとなっていることは、十分に留意が必要です。
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