主要マーケットの見通し:株式市場
第二次トランプ政権 関税/減税の優先順位に注目
トランプ氏の大統領再選決定後、米国株は大幅高となり、S&P500など主要3指数は揃って最高値を更新しました。
2016年の大統領選でトランプ氏が勝利した際も、米国株は大幅高となりました。当時は、法人減税などへの期待感から、バリュエーション(=PER)が上昇し株価上昇の原動力となりました。その後、2017年12月22日に、大型法人減税法案(税率35%→21%) が成立すると、業績見通し(=EPS予想)は速やかに上方修正され、PERは大統領選直後の水準に回帰しました。
2018年以降は、中国との通商問題に政策の重点が移り、世界的に株式市場の変動率が高まる場面が目立つようになりました。
このように第一次トランプ政権では、法人減税が関税策に優先して進められましたが、第二次トランプ政権では法人減税と関税策が同時に進められると予想されます。
株式市場では、S&P500指数が米大統領選前後の1週間(11/5~11/11)で公約の法人減税の引き下げ率(税率21%→15%)に近い5%高となりました。減税効果が既に市場に織り込まれた形ですが、共和党内でも財政規律を重視する議員が一定数存在し、共和党が多数派を握る上下院でも審議が難航する可能性があります。
第一次トランプ政権期はS&P500指数の予想PERは16倍~19倍でしたが、足元は22倍台と割高な状態です。貿易戦争は一旦始まると報復措置も生じやすく政策不確実性が増幅します。米国企業の楽観的な収益期待が揺らぎ、PERの調整を迫られる可能性が残る点には注意が必要と考えられます。
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