2025年の投資環境見通し:サマリー

2度目のトランプ相場 今回はハネムーンなし

新年度の投資環境を展望する際、通常は、世界景気の循環と米国の金融政策の2要因を軸に先行きを見極めます。2025年については、その2点にトランプ次期政権の政策要因を加えて検討する必要があります。 

世界景気の循環については、「りそな景気先行指数DI(下図参照)」が9月、10月に連続して分岐点の50を上回るなど安定化の兆しが観測されます。米金融政策は、四半期に一度のペースで利下げが行われ、金融環境の緩和に寄与すると予想されます。グローバル投資環境は、景気循環が改善へ向かい、それを米国の利下げがサポートする、が基本観となります。

そこに加わるトランプ次期政権の政策要因には、プラス面とマイナス面があります。プラス面ではトランプ減税の延長、マイナス面では関税引き上げ、移民排斥などが挙げられます。IMF (国際通貨基金)が10月に発表した世界経済見通しでは、トランプ氏の公約が実施された場合、世界のGDP水準が2025年は0.8%、26年は1.2%押し下げられるとの試算が示されています。

第一次トランプ政権では1年目の2017年は大型減税の成立が優先され、米中対立が表面化したのは2年目の2018年以降でした。2017年の米国株市場は、ほぼ一本調子の上昇相場となりましたが、2018年~2019年は、米中対立のニュースに揺れる荒い値動きとなりました。今回は、政権発足直後から関税引き上げや移民移送などマイナス面の政策が前面に出てくると予想されます。2025年のマーケットは、年初からボラティリティ(変動率)の高い展開が予想されます。

 

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