健康寿命はぐっと短くなる
男性なら、平均寿命まで生きられたら繰上げの選択はうまくいったことになります。一方、女性はもう少し長生きするので、繰上げ受給をすると損をする人が多いといえます。もちろん、結果として、得するのか、損するのかは誰にもわかりませんが。
年金を早くもらっている人のなかには、「元気なうちに楽しみたいから」という理由を挙げる人もいます。
そういう人たちが意識しているのが、健康寿命です。健康寿命とは、誰かのお世話になることなく自力で日常生活を送れる期間のことで、平均寿命と比べるとぐっと短くなります。男性は72.68歳、女性は75.38歳といわれています。
「体が元気なうちに趣味や旅行などを楽しみたいから、年金は早めにもらう」。
それも、ひとつの選択肢なのかもしれません。
確実に年金を受け取ることを重視するのか、長生きリスクを重視するのか。
自分自身のライフプランと合わせて総合的に判断・選択する必要がありますが、私は自分が決めた受給年齢が正解だと思っています。
繰上げ受給について注意しておきたいことが2点あります。
一つは、繰下げ受給と違って、国民年金と厚生年金のどちらかだけを繰上げることはできないことです。繰上げるときは同時になります。
もう一つは、一度繰上げると取り消せないことです。
「やっぱり65歳から」とか、「やっぱり繰下げに」というわけにはいきません。
どうしようか迷っている間は、繰上げ受給をしないほうがいいでしょう。
情報が膨大になるのでここでは述べませんが、さらに注意したい点がいくつかあります。繰上げ受給を検討されている方は、年金事務所で事前に相談することをお勧めします。
繰上げ受給は、年金が少なくなるとはいえ、60~65歳の5年間で働かなくても入ってくるお金が増えるのは事実です。そこをどう考えるかだと思います。
もらう×増やす×出費を減らす 年金最大化生活
著者名 社労士みなみ
発行 アスコム
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