「ヘッジコスト」の要因から考える、為替ヘッジをすべきか否か
今回のテーマはずばり「為替ヘッジはすべきか?」。つまり海外の外貨建て資産に投資をする際に、外貨建て資産の価値が円高になることで円では目減り(つまり損)してしまうことを防ぐために、“為替ヘッジ“をした方が良いのか、それともしない方が良いのかについて考察する。
さて最近は日本株が上昇しており、ちょっと前の「投資するならとにかく日本ではなく成長性のある海外」のような風潮は薄れているのかもしれない。それでも金利に対する投資、すなわち債券やクレジットへの投資に関しては、まだまだ金利のほぼない日本では十分な利回りを得られる投資はほとんど存在せず、海外に目を向けざるを得ない。
海外であれば、10%くらいの利回りを期待できる投資対象は多く存在する。ただしそれは外貨建ての投資となり、日本円を基準にするとおなじみの為替リスクを負うことになる。
では為替リスクは“ヘッジ”すれば良いではないかというと、一概にはそうとも言えない。なぜならヘッジにはコストが掛かり、そのコストは“日本円と外貨の短期金利の差”を基本とするからだ(実際にはヘッジに使う取引の需給によって、もっとコストが掛かる場合がほとんどだ)。つまり、高金利の外貨資産に投資しても、為替ヘッジをすれば、結局得られる利回りは日本円の金利水準に戻ってしまうのだ。
ここで重要なのはヘッジコストを決めるのは“短期”金利の差であることだ。金利には長期金利もあれば、クレジットの金利もある。投資対象が長期金利だとしてもクレジットだとしても、ヘッジコストとして掛かるのはあくまでその時々の短期金利の差である。短期金利が相対的に高い今のような状況では、長期金利に投資して為替ヘッジすると、利回りはマイナスになってしまう。