個人投資家が参考にすべき長期運用のプロは「保険会社」

以前、日経新聞で世界の保険会社の過半がプライベートクレジットを増やす方針であるとの調査結果が出ていた。今後1年で最も高いリターンが期待できる投資対象だと考えられているという。

保険会社は長期運用の最高のプロであり、彼らの運用方針は、個人も参考にすべきと思う。ではなぜいま、プライベートクレジットはこれほど注目されているのだろうか?それは特に米国における「融資モデルの構造変化」にある。

従来は、融資(つまり資金の貸し出し)は銀行の専売特許だった。古来、破綻した銀行こそあれ、銀行業は世界で莫大な利益を上げてきている。

それが今、銀行規制の強化を背景に、ファンド/ノンバンクの融資全体におけるシェアが米国では8割を超えるまでになっている。つまり、歴史的に規制に守られてきた融資という特権ビジネスが、ファンドを通じて投資家に開放されているのだ。

左が従来の銀行による間接金融、右が現在のファンドによる融資モデル(MA Alternatives社作成)

図中左側が表すように、従来から銀行は預金を集めお金を貸し、信用創造も相まって莫大な利ざやを得てきた。これが今は図の右上が示すように、投資家からお金を集めたファンドがノンバンクを通じて融資する、もしくは右下が示すように、ファンドが銀行と共同融資するモデルが大きなシェアを占めるようになってきている。

つまり、投資家はこれまで銀行に預金をして貸付け金利よりも低い預金金利を得るしかなかったのが(もちろんそれなりのリスクを取ってだが)、ファンドを通じて直接貸付けの金利を得ることが可能になっているのである。

これがプライベート・クレジット・ファンドと呼ばれるものだ。

このような大きな構造変化による収益機会を真っ先に捉えるのは、プロである保険会社などの機関投資家だ。音楽著作権もそうだろう。しかし昨今、個人にもこのようなプライベートアセットへの投資が開放されつつあり、時代の変化を捉えた投資、資産運用が可能になってきている。

株一辺倒の投資だけではなく、保険会社や年金基金のような理にかなった分散投資を個人も容易に目指せる環境を創っていきたい。

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