市場規模に応じた資産配分で世界の成長を取り込む

そのような充実したバランスファンドの中で、売れ筋として利用者から支持を集めているのが「セゾン・グローバルバランスファンド」だ。8月から売れ筋トップの座に座り続けている。このファンドについては、取り扱っている八十二銀行でも「バランス型でありながら、一部株式型を上回るパフォーマンスを見せており、常にランキング上位に名前が載ってくるファンド」(営業企画部 資産運用サポートグループ 近藤一志氏)として評価している。

「セゾン・グローバルバランスファンド」は、ファンド・オブ・ファンズ形式で、米バンガード社のインデックスファンドへの投資を通じて国内外の株式と債券に半分ずつ投資するバランスファンドだ。株式、債券ともに、地域別の配分比率は市場規模の大きさを勘案して決定し、比率の見直しを毎月行うことで、市場の変化に対応している。適宜リバランスを行うことによって、価格が上昇した資産の利益確定を行い、価格が下落した資産を押し目買いするという効果が期待できる。その結果、世界の市場が中長期的に右肩上がりに成長するものであれば、同ファンドに投資することによって世界の市場の成長に応じた投資成果を獲得することが可能になる。

同行が「セゾン・グローバルバランスファンド」を説明する際のポイントとしているのは、「株式と債券に原則半分ずつ投資を行い、長期の資産形成を目的としたバランス型ファンド」、そして、「リバランスにより世界経済の成長をしっかり取り込む」という点だという。そのため、顧客からも「ファンド・オブ・ファンズにより、長期分散投資を目的とした運用を行っている点が評価されていると推察します」(近藤氏)という。長期での投資に魅力があると感じさせるような着実なパフォーマンスの高さもあり、「他のバランス型ファンドと比較した際の過去パフォーマンスも当ファンドを後押しする要因と推察します」(同)と人気の背景を分析している。

バランスながら低コスト運用を実現

「セゾン・グローバルバランスファンド」は、2007年3月の設定から17年を超える運用実績があるが、この間、たとえば過去10年間(2014年10月末~2024年10月末)で同ファンドのトータルリターンは115.16%で投信協会の分類(追加型/内外/複合資産)平均の61.75%を大幅に上回っている。このように優れた成績を残している要因について、同ファンドを運用するセゾン投信は、「特に株式部分への投資において、市場規模の大きさを勘案して地域別配分比率を決定したことにより、パフォーマンスが良好な地域の資産にきちんと資産を配分してきたこと。税の支払いを含めたコストの低減に努めてきたこと」(マルチマネージャー運用部長ポートフォリオマネージャー 瀬下哲雄氏)と振り返っている。

市場規模に応じて配分比率を決定するという同ファンドの運用コンセプトが世界経済の成長を捉えるという同ファンドの目的に適っているのだろう。また、毎月の資産配分比率の調整、そして、同ファンドが資産を分散投資するために利用しているバンガード社のインデックスファンドは世界的にも低コストで運用されており、運用にかかわるコストを低く抑えていることも他のファンドとの比較において運用成績を押し上げる要因の1つになっていることは間違いないだろう。

今後の運用の見通しについては、「株式市場が上昇した場合は株式を売却するとともに債券を購入し、株式市場が下落した場合は債券を売却するとともに株式を購入することにより、リスクを低減しながらリターンの向上を目指します。また、地域別の資産配分比率は、市場規模の大きさを勘案して決定し、幅広い投資機会を活用してまいります」(瀬下氏)と従来の運用を引き続き忠実に実行していくことに徹する。

世界の市場は、米国の利下げや新大統領就任、また、ロシアと北朝鮮の接近や中東での緊張など、かつてなく不透明、不確実性が高まっている。そのような中だからこそ、これまでの実績で裏付けのある運用方法を淡々と継続する方針を貫くのだろう。これまでの実績は、その方法が効果的であったことを示している。このような一貫して変わらぬ運用姿勢も、同ファンドの信頼と人気に結び付いていると考えられる。