京都銀行の売れ筋上位は「海外株式」

京都銀行は、京都府京都市下京区に本店を置き、京都を中心に近隣の滋賀県、大阪府、奈良県、兵庫県、愛知県、東京都に支店と出張所を展開する広域な営業エリアをカバーする地方銀行だ。本支店・出張所は174。海外駐在員事務所を香港・上海・大連・バンコクに置いている。設立は1941年(昭和16年)と比較的新しい。戦後に勃興した京都に本社を置くベンチャー企業や、京セラ、オムロン、村田製作所、任天堂、ワコール、ニデックなどを主力銀行として支え、それらの企業の発展と共に業容を拡大してきた。2023年に持株会社「京都フィナンシャルグループ」を設立し、その100%子会社となる。持ち株会社の傘下にはクレジットカード会社やリース会社などとともに京銀証券があり、スカイオーシャン・アセットマネジメントに出資している。

京都銀行の取扱投信は2024年12月時点で132本。うち、NISAつみたて投資枠対象ファンドは11本、NISA成長投資枠対象が84本。取扱投信を投資資産別に分類すると、「海外株式」が56本で最も多く、次いで「バランス」の25本、「海外債券」の20本、「国内株式」の14本が続く。京都銀行の投信の売れ筋は、ファンドラインアップも充実している「海外株式」が多く、全国的な人気ファンドである「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型」や「インデックスファンドS&P500(アメリカ株式)」などとともに、「イーストスプリング・インド消費関連ファンド」が上位にランクされている。2024年10月には同ファンドが販売件数のトップにも立った。

時宜を得た「インド消費関連ファンド」の取り扱い開始

京都銀行が「イーストスプリング・インド消費関連ファンド」の取り扱いを開始したのは2022年11月。インド株式市場が2022年12月に史上最高値を更新する上昇相場のさなかだった。その後、2023年1月にインドの新興財閥であるアダニ・グループが不正会計の疑惑を指摘されたことによって関連銘柄の株価が下落。その下落の影響がインド株式全般におよび2023年3月頃まで株価低迷を経験した。ただ、その後にインド国内で個人投資家の株式投資ブームが起こり、2024年6月の総選挙でナレンドラ・モディ首相率いる与党・インド人民党(BJP)が引き続き政権を担うことが決まったこともあって2024年前半は大きな株高になった。2024年半ば以降はインド株式市場の割高感が意識されるようになり、8月以降は弱い高値もみ合い商状になった。

京都銀行が「イーストスプリング・インド消費関連ファンド」の取り扱いを開始した2022年11月の同ファンドの基準価額は5万2000円程度(設定来分配金再投資ベース、以下同)。2023年3月には基準価額が4万3000円を割り込む場面もあったが、2024年1月からは基準価額が6万円の大台を超えて7月には7万8000円台にまで上昇する場面があった。取り扱い開始以降に同ファンドを購入した投資家は、2024年以降も保有を続けていれば収益機会に恵まれたと考えられる。

 

同ファンドが強く支持されている理由について、京都銀行営業本部は「インドが新興国のなかでも数少ない、今後の成長が期待できる国である点」と語る。さらに、当ファンドの位置づけについては「特にカントリーリスクや為替変動リスクを許容でき、すでに日本株や先進国株式等を保有しており、地域を分散したい顧客や、新興国成長を取り込みたい顧客」を対象に、「人口増加に伴い、インドのなかでも内需企業の成長が期待されること」を訴求ポイントにしているという。同行が同ファンドをラインアップに加えた狙いは、その後のファンドのパフォーマンスによって奏功したといえるだろう。

もちろん、新興国株式に投資するファンドとして、その価格変動リスクについての注意喚起に怠りはない。「新興国株式であり、値動きが大きいため、積立でも購入をご案内するケースも多く、販売の半分程度が積立による購入」(営業本部)という状況になっている。インドの今後の成長期待を鑑みて、中長期での投資を提案しているということだろう。