それでは今回の選挙の動きを見ていきましょう。前回とほとんど同じ動きをしています。

 

10月31日にかけてボラティリティが上がり、投票日になり株価がぶちあがる。「しめしめ……。保険を買っておいてよかったな」と保険を解約。そしてボラティリティが下がる。完全にコピーと言ってよい動きです。

 

次に金利とドルの動きを見ていきましょう。まずは8年前からです。青線のグラフが10年金利、赤線のグラフがドル円の動きを指示しています。

金利は投票日に向かい順張り型で上がっていく。当時の10年金利は1.8%でした。ドナルド・トランプが勝利し減税に向けて動き出した。「景気が良くなるぞ」という雰囲気も織り込み10年金利はだいたい100ベーシス上がりました。

逆に2016年の為替市場はどうだったか。日本にとっては悲劇でした。当時はブレグジットもあり、マイナス金利もあり、9月にはイールドカーブコントロール政策も行われた。アベノミクス最大の試練の年だった。

そんな時にトランプ大統領が誕生したのです。当時は「また1ドル100円になるんじゃないの」という声もありました。実際には金利が上がりそれについていくようにドル高になり、1ドル100円から見ると、15~17%動きました。

 

さて、今回の選挙です。投票日になった。「やはりトランプさんは強い」ということで、乗り遅れてはいけない、とでも言うようにドル円が上がりました。そして投票日に買われて154円になった。ただ、今回の場合はドル円は10%ほどの上昇幅、金利も4%から見ると40ベーシスの上昇、ボトムから見ても80ベーシスの上昇です。

8年前の選挙結果には驚きしかなかったと思います。私も「本当にトランプが勝ったのか」と驚きました。

当時は「トランプタワーを持っている富豪ドナルド・トランプ」、「テレビで面白いことをやっているトランプ」、「バック・トゥ・ザ・フューチャーに出てきたジャイアンみたいなやつ」その程度の認識しかなかった。そんなトランプさんが勝利したわけです。まともに選挙の動きを見ていなかったものだから、慌てて飛び乗った印象があります。

しかし、今は何をするかはだいたいわかっている。だから、あらかじめ「トランプ・シフト」が行われていたのではないかとみています。

ここまでの動きは8年前と同じ作戦を試みてうまくいったという話です。マーケットは明日も続きます。ここからはファンダメンタルズに返っていかなければならない。そして、ファンダメンタルズは8年前とは大きく異なります。