PayPayアセットマネジメントの事業終了が意味すること
去る10月11日、PayPayアセットマネジメント株式会社はプレスリリースにて、2025年9月末をめどに事業を終了することを公表した。運用資産の拡大が計画通りに進まず業績低迷が続き、「受益者に最良の資産運用サービスを持続的に提供することが難しいという判断に至った」とのことだ。
肝心の同社が運用する12本の投資信託はというと、8本(うち6本がNISA対象)は株主であるアセットマネジメントOneが運用を引き継ぐが、以下の4本は運用を終了し、繰上償還される。11月1日時点で具体的な償還のスケジュールはまだ公表されていないが、来年9月の事業終了を待たずに償還される可能性は高い。
・PayPay投信バランスライト
・PayPay投信 米国株式インデックス
・PayPay投信 NYダウインデックス
・PayPay投信 NASDAQ100インデックス
※すべて成長投資枠対象
一般的に、運用会社が特定の投資信託の繰上償還をする場合は、受益者に対してホームページ等で「繰上償還に関する公告」を行い、一定の異議申立期間を設けた上で実施する。総受益口数の半数以上が反対すれば償還は見送られる。
ただし、今回のPayPayアセットマネジメントのように、運用会社が事業を終了し、それに伴って投資信託も繰上償還される場合、当該投資信託を保有する受益者は異議申し立てを行うことはできない。つまり、償還までに自ら解約手続きをするか、償還日まで保有して資金が戻ってくるのを待つことしかできない(なお、投資信託内の財産は法律に基づき信託銀行で分別管理がなされているので、事業が終了してもお金がなくなるということはない。その点は安心してほしい)。
それにしても、商品の差別化が図りにくく、新NISAの開始前から既にレッドオーシャンと化していたインデックスファンドを商品ラインナップの中心に据えておきながら、「運用資産の拡大が計画通りに進まず」というのはあまりにもお粗末と言わざるを得ない。繰り返しになるが、投資信託という金融商品は一定程度「規模の経済性」が働く。今回のPayPayアセットのような事態は頻繁に起きるわけではないが、今後も商品単位の淘汰(とうた)は進む可能性が高く、小粒な投資信託は繰上償還される可能性があることは、念頭に置いておいてほしい。