「無期限」=半永久的な運用を約束するものではない?

NISAの対象商品には、信託期間(設定から償還までの年数)20年以上という条件が設けられている。信託期間は、各投資信託の目論見書で確認することができ、最近は信託期間を「無期限」とする投資信託も増えている。「無期限」とは文字通り、償還までの期限を設けないという意味だ。このように聞くと、長期資産形成では、なるべく信託期間無期限の投資信託を選んだ方が良いと思う方も多いかもしれない。しかし、目論見書上では信託期間を無期限としていても、それが書面上の約束に過ぎず、半永久的な運用を保証しているわけではないということをご存じだろうか。

「書面上の約束」と表現したのは、所定の手順を踏めば、ルール上、運用会社は投資信託の運用を途中で終了することもできるためだ。具体的には、運用成績が振るわずに恒常的な資金流出が続いたり、投資家の支持を集められず、残高(口数)の増加がこれ以上見込めなかったりする場合、運用会社は投資信託の運用を終了し、資産の清算を行って、償還日とした時点の保有者に対して保有している口数に応じたお金を返還する。これを繰上償還という。株式でいうところの上場廃止をイメージすると分かりやすいだろう。

こうした対応が認められている理由は、残高が一定水準を超えないと、効率的な運用ができず、運用を続けていても赤字を垂れ流す状態になってしまうためだ。規模の経済性が働く、投資信託という金融商品の宿命とも言えよう。

新NISAが始まってまもなく1年が経過しようとしている中、実はここに来て対象銘柄から脱落――つまり、繰上償還される投資信託が出始めた。