定年も見えてきて、娘の将来にも不安が募るように…

そのような日々の中で、義和さんにも転機が訪れます。

会社で定年後を見据えたライフプランセミナーがあったのです。アタマでは分かっていたつもりでしたが、セミナーを受けたことで、定年が迫っていると現実感をもって意識するようになったそうです。同時に、「今のうちに和美を何とかしなければ」との思いも一気に強くなったとのことでした。

帰宅後に早速、彼は和美さんの元へ向かい、現状を聞きつつ、今までより強めに就活か婚活をするよう伝えたといいます。すると和美さんは何か今までと違うものを感じ取ったのか、少し考え込んだうえで婚活をすると言いました。

このような経緯で、やや強引ではありましたが、ようやく娘がその気になってくれ、彼は妻とともにホッとしたといいます。

彼は早速、費用を全額負担したうえで、評判の良かった近所の結婚相談所に和美さんを向かわせました。そして、30歳は「まだ若い」ということで前向きに応対してくれたらしく、彼も一安心できたのだそうです。その後の和美さんは、お見合いや婚活パーティーに出掛けるようになり、結婚は時間の問題と思っていました。

ところが、気づけば和美さんは3年経っても結婚できなかったのです。婚活から帰ると、グチばかりになっている点も気になったといいます。かつてに比べれば頻繁に出掛けはするものの、一向に結果が出ず、同時に自身の定年が刻一刻と迫ることで、また彼は少しずつ焦るようになってきました。