リクルートホールディングスの株価が回復しています。2024年4月にそれまでの高値(2021年11月、8180円)を約3年半ぶりに更新し、同年7月に9550円の上場来高値を記録しました。米国の求人件数の減少などから売られていましたが、足元では見直し買いが進んでいるようです。業績も好調で、直近の2024年3月期の純利益は過去最高を更新しました。

リクルートHDは収益性の高さから「JPXプライム150指数」に選ばれています。JPXプライム150指数は2024年8月に最初の定期入れ替えを実施しましたが、リクルートHDは継続して採用されることとなりました(出所:JPX総研 JPXプライム150指数の構成銘柄の定期入替について)

リクルートHDとはどのような企業なのでしょうか。同社の概要と業績を紹介します。またリクルートHDは潤沢なキャッシュを持ちますが、その使い道についても紹介します。

買収のインディードが成長 海外売上高は4%から50%超へ

リクルートHDは主に人材に関するサービスを提供する企業です。事業構成はHRテクノロジー事業、マッチング&ソリューション事業、人材派遣事業の3つです。

うち最も大きな利益を稼ぐのがHRテクノロジー事業です。売り上げの構成比は3割ほどですが、調整後EBITDA(※)は過半を占めています。

※EBITDA:利払い前、税引き前、償却前の利益。最終利益に利息と税金、減価償却費を足し戻したもの。

【セグメント売上収益(2024年3月期)】
・HRテクノロジー:1兆0118億円(29.3%)
・マッチング&ソリューション:8078億円(23.4%)
・人材派遣:1兆6342億円(47.3%)
※()は構成比

【セグメント調整後EBITDA(2024年3月期)】
・HRテクノロジー:3443億円(56.8%)
・マッチング&ソリューション:1636億円(27.0%)
・人材派遣:979億円 (16.2%)
※()は構成比

出所:リクルートHD 決算短信

HRテクノロジー事業は、主に完全子会社のインディード(Indeed)とグラスドア(Glassdoor)で構成されます。インディードは2012年に買収し、グラスドアは2018年に買収しました。

インディードとグラスドアはオンラインで求人情報の収集や検索ができるマッチングプラットフォームを運営しています。いずれも世界的な求人サイトとなっており、インディードは毎月3億5000万人、グラスドアは毎月5500万人の利用者が訪れています(2023年10月~2024年3月。社内データに基づく月間平均数)

特にインディードは大きく成長しました。売上収益は単体でリクルートHDの10%超を占めています(2024年3月期)

インディードの成長や他の買収の影響から、リクルートHDのグローバル化は大きく進展しました。海外売上高比率は2012年度の約4%から2019年度に約45%にまで上昇します。直近では売り上げのおよそ半分を海外が占めています。

【地域別、外部顧客への売上収益(2024年3月期)】
・日本:1兆5907億円(46.6%)
・米国:9393億円(27.5%)
・その他:8864億円(25.9%)
※()は構成比

出所:リクルートHD 有価証券報告書

その他2つの事業も概要を押さえておきましょう。

マッチング&ソリューション事業は、グループ中核企業のリクルートが属するセグメントです。主に国内で企業の人材および販促を支援しています。

人材領域の主なプロダクトは「リクナビ」や「タウンワーク」などです。これらはインディードと連携が進んでいます。人材領域の収益はHRテクノロジー事業へ移行していく見込みです。

販促領域では「HotPepperグルメ」や「SUUMO(スーモ)」、「じゃらん」などを提供しています。販促領域には「Airペイ(エアペイ)」といった業務支援ツールの提供も含まれており、現在はこの拡大に注力しています。

人材派遣事業は、あらかじめ登録したスタッフを契約先へ派遣する事業です。国内ではリクルートスタッフィングやスタッフサービス・ホールディングスを通じ、海外では現地企業を通じてサービスを提供しています。