アメリカ景気は底打ち?リクルートが今期を「0年目」とみなす理由
次に業績を押さえましょう。
2024年3月期は減収増益でした。HRテクノロジー事業は米国を中心に苦戦しました。一方でその他の事業は好調だったこと、また販管費が大きく減少したことから、営業利益および純利益は大幅な増益となっています。
【リクルートHDの業績(2024年3月期)】
・売上収益:3兆4164億円(-0.4%)
・営業利益:4025億円(+16.9%)
・純利益:3536億円(+31.1%)
※()は前期比
今期(2025年3月期)の業績予想は幅を持たせた開示となっています。最大値と最小値で平均を取ると、売り上げと純利益はほぼ横ばい、営業利益は約1割の増益となる見込みです。前期は四半期ごとの開示でしたが、今期は期首から通期で見通しを公表しています。
【リクルートHDの業績予想(2025年3月期)】
・売上収益:3兆3000億円~3兆5000億円(-3.4%~+2.4%)
・営業利益:3900億円~5000億円(-3.1%~+24.2%)
・純利益:3150億円~4000億円(-10.9%~+13.1%)
※()は前期比
リクルートHDは、今期を米国の景気サイクルが上向く「0年目」とみなしています。米国の求人件数は底打ちが近いと判断しているようです。
米国の求人件数はピークから減少が続いています。背景にはコロナ後の経済再開で求人が急拡大した反動があるとみられています。
一方で失業率は底堅く、足元は4%台で推移しています。労働市場が堅調なことから、求人件数がさらに減少するような状況は想定しにくく、リクルートHDは近く底打ちするとみています。
第1四半期の実績は2024年8月に公表されました。進捗はおおむね順調なようです。進捗率は売上収益で25%~27%、営業利益で25%~32%、純利益で26%~33%となりました。
主力のHRテクノロジー事業の米ドルベース売上収益は、前年同期比はマイナスだったものの、前四半期比ではプラスとなりました。四半期比の増収は2期連続です。不透明感は続いていますが、回復の兆しも見え始めているようです。