実施率が低い職域マネー教育に課題
新NISA開始に伴い、同じく非課税制度であるiDeCo(個人型確定拠出年金、イデコ)や企業型確定拠出年金(企業型DC)にも注目が集まっている。職場での投資教育(研修会開催や情報提供、社外セミナー参加等)といった、いわゆる職域でのマネー教育は正規雇用者で30%、非正規雇用者で13%と低い実施率にとどまった。
従業員規模が大きい企業ほど実施率は高まり、5人以下では13%だが、1万人超では40%となっている(非正規込み)。業種別では「電気・ガス・熱供給・水道業」「金融業、保険業」が40%とともに最多だった(同)。
どのような教育メニューが求められるかについては、「老後資金の形成方法」「投資の基礎」という回答が多かった。逆に不要という声が多かったのは、Z世代ではライフプランニング。結婚、出産、住宅購入といった従来の内容が時代にそぐわなくなった面が伺える。
前述どおり、今回の調査では初めて調査対象に労働人口の4割弱を占める非正規雇用者を加えた。彼らの投資行動を促進するには、さらなるNISA制度の活用に加え、金融リテラシーの強化が挙げられる。例えば職域での投資教育の普及率は低いが、今回の調査でも非正規雇用者にも教育の機会を提供してほしいという声もあったという。「マネー教育、金融リテラシーの向上はエンゲージ(会社への愛着や貢献したいという意識)を高め、生産性を上げ、翻って企業の業績をアップするサイクルにつながると言われている」と浦田氏。
今後、雇用形態によらない投資教育の機会提供や、投資の原資となる賃上げがどこまで広がっていくかが投資家の裾野拡大を左右する要因となるといえそうだ。