想定より早い夫の退職で老後資金に大打撃

体調不良により67歳のとき、孝太郎さんはやむを得ず長年勤めた会社を退職することになりました。「70歳まで働くつもりだったのに……」と、孝太郎さんは少し残念そうにつぶやきました。

再雇用で収入を得ながら、家計を支えていく計画だっただけに、突然の退職は夫婦にとって大きな打撃。また、予想外だったのは、第3号被保険者は、夫が厚生年金に加入している間だけ適用される制度のため、夫が退職して厚生年金に加入しなくなると、妻はその対象から外れます。このとき、まち子さんは55歳。国民年金は、20歳~60歳までの40年間の加入が原則です。そのため、あと5年間国民年金を支払う必要が出てきたのです。

年金について調べて分かった衝撃的な事実

これまであまり年金について深く考えてこなかったまち子さん。ふと、「私はいくら年金を受け取れるのかしら?」と気になり、「ねんきん定期便」を手に取ってみることにしました。

短大卒業後から結婚するまでの3年間だけ勤務先で厚生年金に加入していましたが、その後はときどきパート勤務をする程度。ほとんどの期間を孝太郎さんの扶養に入って過ごしてきました。「わずかな金額しか受け取れないだろうな」と想像していても、孝太郎さんの退職をきっかけに老後の生活が現実味を帯びてきて、具体的な年金額が気になり始めたのです。

そこで将来の受給見込額を確認したところ、イメージしていたより金額も年金加入期間もわずかに足りないことに気づきます。「どうしてこんなことに?」「何かの間違いかも……」。理由が分からず、夫と一緒に弊社FP事務所を訪ねて来られたまち子さん。そこで耳にしたのは、全く予期していなかった衝撃的な事実でした。

●余裕をもって老後を迎えられるはずが想定外のアクシデントが発生。年金の受給見込額が思ったより少なかったのは、まち子さんの“ある思い違い”が原因でした。後編【想定より少ない「将来の年金額」にがくぜん…50代主婦が受給額を増やすためにとった「決意の行動」とはで詳説します。

※プライバシー保護のため、内容を一部脚色しています。