セゾン投信社長の園部鷹博氏は1975年生まれの49歳。いわゆる“団塊ジュニア”で、就職氷河期世代にもあたります。厳しい雇用状況のなか、希望する職に就けずに、不安定な仕事に従事せざるをえなかった人も少なからずいます。そして、こうした背景から老後に向けた資産形成が十分にできていない人も……。

園部氏は50代に差しかかる同世代に、これから資産形成を始めても遅くないと伝えるため、書籍『50歳・資金ゼロから始める老後を幸せにする資産運用』を執筆。今回は本書から特別に、50歳から資産を増やすための知っておきたい公的年金の仕組みや具体的な投資手法をお届けします。(全4回の1回目)

※本稿は、園部鷹博著『50歳・資金ゼロから始める老後を幸せにする資産運用』(ビジネス社)の一部を抜粋・再編集したものです。

周りを見渡せば高齢者ばかり

2050年の未来図を描いてみましょう。あえて不都合な現実を直視してみます。現在、50歳の人が2050年の時には、76歳になっています。一般的に65歳以上の人を「高齢者」と呼び、75歳以上になると「後期高齢者」と言われるようになります。

対して65歳以上74歳までの高齢者を「前期高齢者」と言います。この2つは何が違うのかご存じですか。

医療保険制度が違うのです。

前期高齢者は健康保険組合、国民健康保険といった医療保険に加入しています。そして後期高齢者になると、後期高齢者医療制度という独立した医療保険に加入することになります。

この制度は、平成20年に導入されました。超高齢社会に突入して高齢者の医療費が増大するなか、国民皆保険制度を維持し、医療保険制度を持続可能なものにする必要があったからです。

このように医療保険制度を見直さざるを得ない状況になるほど、日本は高齢者人口が増えています。ちなみに、これを混同している人が非常に多いと思うのですが、今でも日本のことを「高齢化社会」と言う人がいます。これは間違いなので注意してください。

実は高齢化社会には、ちゃんとした定義が設けられています。具体的には、全人口に占める65歳以上人口の割合によって決まります。それによると、

 高齢化社会    65歳以上人口が全人口の7%超14%以下
 高齢社会    65歳以上人口が全人口の14%超21%以下
 超高齢社会    65歳以上人口が全人口の21%超

となります。ちなみに日本は1970年から高齢化社会になり、1994年からは高齢社会、2007年からは超高齢社会へと移行していきました。

日本の将来推計人口(出典:日本の将来推計人口〈令和5年推計、国立社会保障・人口問題研究所〉)を見ると、これから高齢者の人口がどれだけ増えるのかがわかります。出生中位(死亡中位)の前提条件を付与した場合の将来推計人口によると、65歳以上人口の占める割合は、2020年時点で28.6%だったものが、2050年に37.1%まで上昇します。

かつ、このうち23.2%が75歳以上の後期高齢者で占められます。これを人口の実数で見ると、2020年時点では65歳以上が3602万7000人で、生産年齢人口と言われる15歳以上64歳が7508万8000人です。つまり2人で1人の高齢者を支えれば良かったのに、2050年になると様相ががらりと変わってきます。