直近では位置情報のデータホルダーと連携を始め、③拠点滞在時間に基づくオルタナティブデータの提供が実現しました。月間450億件にのぼる人流位置情報をもとに、小売店やホテル、工場の稼働率を把握・分析し、投資指標としています。
――オルタナティブデータを投資判断に生かした事例を教えてください。
レシートから集めた販売データに基づいた株価・業績予測はその一例です。最近、食品などあらゆる商品の値上げが相次いでいますが、商品の値上げ後に販売数量が落ちていなければ、その企業の粗利率が改善していると想定でき、株価にとってプラス要因になると考えられます。
また企業の求人数のデータを企業の銘柄・業績分析に役立てることも可能です。ある医師向け求人サービス企業の業績見通しを見てみると、今期は減収が予想されており、あまり魅力的な銘柄ではないように感じられます。しかし医師のバイト求人数の推移を示したオルタナティブデータに着目すると、コロナ禍における医療従事者ニーズの高まりで近年売り上げが爆発的に上がっていただけであり、直近の業績も減収見込みとはいえ決して悪くないことが分かります。
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後編では、オルタナティブデータ市場の現状や、個人投資家との相性について取り上げる。