約4年前に起きたFIREブームは今も継続中

FIREという言葉が日本に上陸したのは、恐らくですが、2020年3月にダイヤモンド社から「FIRE 最強の早期リタイア術」(クリスティー・シェン、ブライス・リャン著)という本が発売されてからだと思います。この本の発売以来、ある程度の金融資産を貯めて運用し、そこから得られる運用収益で生活するFIREに対する関心が、日本でも一気に高まりました。

FIREとは「Financial Independence, Retire Early」の略で、日本語に訳すと、「経済的自立と早期リタイア」となります。

この言葉を額面通りに受け止めれば、「Retire Early」、つまり「仕事なんて面倒なことからさっさと離れる」ために、「Financial Independence」、つまり「労働とは違う形、たとえば運用収益によって生計を成り立たせる」ということになります。

ある意味、高齢者になってからのライフスタイルを、できるだけ若いうちから始める、という発想です。

その是非はともかくとして、どうすれば早期リタイアを可能にするだけのキャッシュフローを確保できるのでしょうか。

これについて、前出の著書では「4%ルール」を掲げています。

まず、25年分の生活費を計算します。年間300万円だとしたら、

300万円×25年=7500万円

です。次に、年4%のリターンで、この7500万円を運用します。すると、年間の運用収益は300万円ですから、ひとまず年間の生活費を運用収益によって賄える計算にはなります。

ただ、厳密に言えば、この300万円には税金が加味されていません。日本の場合、基本的に株式を含む金融資産から生じる収益に対しては、20.315%の税金がかかりますから、それ以上のリターンが得られるもので運用するか、もしくは25年分の生活費を、もう少し多めに見積もる必要があります。

あくまでも概算ですが、税引後で年間300万円の収益を得るためには、毎年の運用収益として376万円を生み出す必要があります。7500万円を投資元本とするならば、4%ではなく5%のリターンが必要になりますし、4%のリターンで年間376万円の運用収益を実現しようとしたら、投資元本は9400万円が必要になります。4%ルールを検討する場合は、税金のワナに引っ掛からないようにしましょう。