S&P500で運用した場合のシミュレーション

では、次に4%のリターンを安定的に享受する方法はあるのかどうかを検証してみたいと思います7500万円を元手にして、年5%のリターンを享受し続けられるかどうかを考えてみましょう。

これについては、実際のデータを用いて計算した方が、よりリアルかと思いますので、米国の代表的な株価指数であるS&P500の配当込み、円建てのリターンを用いて計算してみたいと思います。運用期間は2006年から2023年までの17年間です。計算の考え方としては、1年間運用した後の元利合計額から、次の1年間の生活に必要な300万円が税引後の手取りで残るように、376万円を差し引き、残金をさらに翌年の運用に回して、翌年末の元利合計額から再び376万円を差し引き、これを毎年繰り返していきます。

この期間の運用における最大の試練は、2008年のリーマンショックでしょう。この時S&P500は年率で49%のマイナスとなっています。実際、2007年末の時点で、7500万円が8283万3900円まで増えていたのが、2008年の下落によって、4032万7700円まで目減りしてしまいました。

このように一度、大きな下落を食らってしまうと、暴落前の水準にまで戻すのにはかなりの時間を必要とします。

しかも毎年376万円は、リターンが得られようとも、あるいは損失を被ろうとも、運用資産から差し引かれていきます。大きなマイナスを被ったうえに、さらに年間376万円は生活費として自動的に差し引かれていくのですから、暴落前の水準にまで運用資産の評価額を戻すには、長い時間を必要とするはずです。

とはいえ、これもマーケットの勢い次第です。2008年に49%もマイナスとなったS&P500ですが、それ以降は大幅な金融緩和政策もあったおかげで、大きく上昇しました。ちなみに、

2009年・・・・・・30.4%
2010年・・・・・・0.4%
2011年・・・・・・▲3.3%
2012年・・・・・・30.8%
2013年・・・・・・60.8%
2014年・・・・・・30.3%

といった具合です。このように高いリターンが続いたおかげで、毎年376万円ずつを差し引いているにも関わらず、2014年には暴落前の運用資産額を回復しています。

そして、2023年末時点において、7500万円からスタートした運用資産額がどうなったのかというと、1億9080万9300円まで増えています。繰り返しになりますが、毎年376万円を差し引いたにも関わらず、です。