投資に関心を持って情報を集めていると、「投資信託は大別するとインデックスファンドとアクティブファンドの2種類があるが、投資を始めるのならインデックスファンドがおすすめ」といった話を聞く機会があるかもしれません。

おすすめに従ってそのまま投資するのも一つの方法ですが、納得のいく投資を行うにはなぜそのような話がよく言われているのかを理解しておくことも大切です。

この記事では、「なぜインデックスファンドがよいと言われるのか?」「アクティブファンドについて検討しなくてもよいのか?」について解説します。

インデックスファンドを選ぶべきと言われる「理由」

まずは、そもそも「インデックスファンド」や「アクティブファンド」とはそれぞれどのようなもので、どんな違いがあるのか整理しておきましょう。

・インデックスファンド……特定の指数と「同じ」値動きをすることを目指す投資信託
・アクティブファンド……特定の指数を「上回る」値動きをすることを目指す投資信託

両者はいずれも投資家から集めたお金をまとめて元手として、運用の専門家が株式や債券などに投資する「投資信託(ファンド)」ですが、運用を行う上で目指しているところが違います。

インデックスファンドは、TOPIX(東証株価指数)やS&P500などの特定の指数と同じ値動きを目指しているため、投資先や資金の配分はその指数の構成内容とほぼ同じになります。

指数に沿って機械的に運用できるため、運用上の手間がかかりにくく、信託報酬(投資信託を保有している時にかかる手数料)が低くなりやすいという特徴があります。

一方、アクティブファンドは特定の指数よりも良い成績を狙う必要があるため、一つひとつ運用のプロが目利きをして独自の判断をしています。そのため、信託報酬などのコストが高くなりやすい傾向があります。また、「新NISAで買える」と条件を絞りこんだとしても、アクティブファンドは1300本超 もあり(新NISAナビを参照 ※2024年4月時点)、どの銘柄を選べばいいのかという問題もあります。

一方、インデックスファンドもさまざまな商品がありますが、連動する指数が同じであれば、パフォーマンスに大きな差は生まれません。例えば「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」と「SBI・V・S&P500インデックス」は、ともに「S&P500」という米国株式を投資対象とする指数への連動を目指すファンドであるため、指数が同じである以上、パフォーマンスもほぼ一緒、といった具合です。
(ただし同種のインデックスファンドでもパフォーマンスに差が生じることはあり、その大部分はコストによるものなので、長期投資のうえではコストを吟味することは重要になります。前回の記事『資産形成は「インデックスファンドから」と言うけれど、種類がありすぎ…どれを選んでも同じ? それとも違いがある?』にて詳説しています)

このような特徴から、投資初心者には大きな失敗を避けやすく、また指数に連動するという“わかりやすさ”のあるインデックスファンドがおすすめと言われることが多いのです。

さらに過去10年のパフォーマンスを比較してみても、国内株式に投資するアクティブファンドの約3分の1しか、TOPIXを上回れていない現実もあります(出所:金融庁『資産運用業高度化プログレスレポート2023』)。 

ここまで読むと、「やはりインデックスファンド一択でよいのでは?」と思うかもしれません。ただ、アクティブファンドにはアクティブファンド“ならでは”の魅力があります。