三菱アセット・ブレインズがまとめる2024年5月の公募投信(ETF、DC専用、SMA専用、公社債投信除く)の資金流入額ランキングでは「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」が2014億円の流入額で引き続きトップになった。第2位も「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の1612億円で、「eMAXIS Slim」シリーズを代表する2本のファンドへの資金流入が止まらない。直近3カ月間の資金流入額は「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」で5748億円であるため、「オルカン」の資金流入額が加速しているようにもみえる。ランキングの12位までを全て外国株式型が占め、前月は「日経225ノーロードオープン」や「楽天日本株4.3倍ブル」など日本株の値上がりに期待するファンドがトップ10に入っていたが、今月はトップ20からも姿を消した。

一方、5月に新規設定された「三井住友DSワールド・ボンド・フォーカス2024-05(限定追加型)」が流入額606億円で第4位、「HSBCインド・インフラ株式オープン」が流入額540億円で前月の第11位から第6位へと大きくランクアップしているのが目立った。

※図をクリックで拡大表示

 

◆市場をリードする「オルカン」「S&P500」

資金流入額上位を外国株式型が占めるのは、近年の傾向として定着している。2020年3月のコロナ・ショック以降の市場回復期において、DX(デジタル・トランスフォーメーション)ブームをけん引し、大型グロース株の株価上昇によって世界の株式市場を引っ張ったのは米国株式であったことは事実だ。このため、過去4年にわたって投信市場への資金流入は外国株式型が中心になってきた。そして、その外国株式型の中でも「S&P500」と「全世界株式(MSCI ACWI(オール・カントリー・ワールド・インデックス)」に連動するインデックスファンドが市場の人気を集めてきた。このインデックスファンドへの人気は、2024年1月にスタートした新NISAによる積立投資ブームの追い風も受けて一段と加速しているのが現状だ。

◆外国株アクティブ3強人気は継続、いずれも1兆円超えの規模

また、外国株式型アクティブ投信の人気上位ファンドは、米国株を対象とした「アライアンスバーンスタイン・米国成長株投信」と、グローバル株式を対象にした「インベスコ世界株式厳選オープン<世界のベスト>」と「フィデリティ・世界割安成長株<テンバガー・ハンター>」の3本が突出している。これら投信には為替ヘッジのあり・なし、また、分配頻度によっていくつかコースがあるが、それぞれ純資産残高がマザーファンドベースでは1兆円を大きく超えるファンドに成長している。