◆新興勢力の「インド株」は定番ファンドとして根付くか?

ここに、新たに加わりつつあるのが、「インド株」にフォーカスしたファンド群ということになる。5月のランキングでは、「HSBCインド・インフラ株式オープン」が第6位に、第16位の「インド小型厳選株式ファンド」、第20位の「ダイワ・ダイナミック・インド株ファンド」などが台頭してきている。インド株投信としては、代表的なインド株インデックスである「Nifty50」や「SENSEX30」に連動するインデックスファンドの品ぞろえも進んでいる。

◆株高基調の中、下落に備えるファンドが新規設定

5月の新規設定ファンドは16本(ETF、SMA専用、公社債投信等を除いた公募投信)。設定額で最大だったのは、5月17日に設定された「三井住友DSワールド・ボンド・フォーカス2024-05(限定追加型)」の479億円だった。先進国を中心に世界の金利がピークアウトする見通しが強まる中、現在の高い金利水準を運用に取り入れるため償還まで購入した債券を持ち切りで運用するファンドだ。限定追加型であるため、今後は残高が増えない。

第2位の設定額だった「スマート・コントロール世界株式戦略ファンド」は、「株式市場が下落する局面において、インデックス対比で下落リスクを抑制することで、安定したリターンの積み上げを目指す」という、従来の人気ファンドである成長株投資とは真逆のポートフォリオ構築を目指すファンドになっている。実際に6月5日現在のポートフォリオの内容が情報開示されているが、生活必需品、ヘルスケア、公益事業などが「MSCIワールド指数」と比較してオーバーウエイトになり、情報技術や金融、一般消費財といったセクターはアンダーウエイトしている。先進国株価が日米欧ともに史上最高値を付けた今年、一本調子の株価上昇に警戒感を感じる投資家にアピールできるだろう。また、「S&P500」や「全世界株式(オール・カントリー・ワールド・インデックス)」のインデックスファンドを保有する投資家の分散投資手段としても活用が期待される。

執筆/ライター・記者 徳永 浩