メガバンク3行の売れ筋は、バランス型や債券ファンドも含めた幅広い商品が並んでいる。2024年5月では、売れ筋のトップは三菱UFJ銀行が前月の株式インデックスファンドに代わってバランス型の「MUFG ウェルス・インサイト・ファンド(標準型)」、三井住友銀行は債券ファンド「三井住友DS ワールド・ボンド・フォーカス2024-05(限定追加型)」になるなど、ディフェンシブ(リスクから資産を守る性格が強い)な銘柄がトップに来た。みずほ銀行では、前月から2カ月連続でバランス型の「ピクテ・プレミアム・アセット・アロケーション・ファンド」がトップに立っている。もっとも3行ともに、2位以下の売れ筋は株式を主たる投資対象にしたファンドがずらりと並ぶだけに、決して、市場に大きな変調を見越してディフェンシブな姿勢に転じたわけではないだろうが、売れ筋のトップが3行そろって株式ファンドではなかったという点は留意が必要だろう。


<メガバンク3行 売れ筋トップ10> ※図をクリックで拡大表示

 

メガバンク3行の売れ筋ランキングの発表は、三菱UFJ銀行と三井住友銀行が「総合」ランキングのところ、みずほ銀行は「みずほインターネット投信除く、積立契約も除く」としており、やや性格が異なる。みずほ銀行は別途「みずほダイレクト販売額ランキング」を発表し、そこでは株式インデックスファンドが上位を占めていることから、総合ランキングにするとみずほ銀行でも売れ筋トップ10に複数のインデックスファンドが入ってくるものと考えられる。

◆株高を意識しつつも、バランス型でリスク分散の動き

三菱UFJ銀行の売れ筋トップになった「MUFG ウェルス・インサイト・ファンド(標準型)」は、株式や債券、REIT(不動産投資信託)などグローバルに幅広い資産に分散投資するバランス型ファンドで、リスク水準の異なる3つのコース、「保守型(目標リスク水準:年6%程度)」「標準型(同10%程度)」「積極型(同14%程度)」がある。5月にトップになったのは「標準型」で、第7位に「積極型」が入っている。年率2ケタのリスクを許容するコースのファンドであるため、リスクに配慮しつつも、やや積極的にリターンを目指して行くタイプだ。

このグローバル分散型のバランスファンドは、三井住友銀行で売れ筋の第9位に入っている「ライフ・ジャーニー(かしこく育てるコース)<最高の人生の描き方>」が同タイプで、目標リスク水準が年10%程度で資産配分するファンドだ。三菱UFJ銀行のトップになっている「MUFG ウェルス・インサイト・ファンド(標準型)」と同程度のリスク水準をめざすファンドが売れ筋トップ10に入っているのは、メガバンクを利用する顧客のリスクに対する現在の考え方をある程度表しているようにもみえる。なお、「ライフ・ジャーニー」は、同じ目標リスク年10%程度のバランス運用をしながら、分配金額の異なる3コースがある。ランキングに入った「かしこく育てるコース」は、分配金がないコース。この他に、2カ月ごとに分配金が出る「かしこく使うコース」と、2カ月ごとの分配金の金額が大きくして資産を取り崩しながら使っていく「充実して楽しむコース」がある。